日経平均は年内に3万5000円達成の可能性がある 今後の相場で投資家が買うのはどんな銘柄か
では、今後日本株はどこまで上昇するだろうか。TOPIX(東証株価指数)の1年先予想PER(株価収益率)は6月末現在で約14.4倍。過去10年のTOPIXの同PERの平均は、およそ15~16倍付近が上限だった。ということは、株価は急騰してきたが、日本株にはまだ10%程度の上値余地があると言えそうだ。
実際、今回の急上昇に乗り遅れて買えなかった長期志向の投資家も多い。今後は国内、海外に限らず、まだ本格的に参入していない長期志向の投資家が買いを入れてくる。私はメインシナリオでは年内に日経平均株価は少なくとも3万5000円程度まで上昇、楽観シナリオでは3万7000円まで上昇する可能性があるとみている。
当面の日本株は上値が重くなるかもしれない
一方、急ピッチな上昇に対する警戒感からいったんスピード調整を経たというものの、アメリカの根強いインフレ圧力と金融引き締めを巡る不透明感、さらには年後半の同国の景気後退懸念や企業業績の悪化リスクなどは残っており、上値は重くなりそうだ。
今日本株を買っている外国人投資家が気にしているのは、株主総会で日本企業が企業価値向上についてどう説明したかという点だ。また、現在は7月下旬に本格化する企業の4〜6月期決算の結果なども冷静に判断するタイミングである、という点も重要だ。残念ながら現段階では一部の海外投資家が期待するほど株主総会で具体策に言及したとは言えない。また4〜6月期の決算が大幅増益となる可能性もそう高くはないだろう。
こうした点を考慮すると、7〜8月は失望した短期筋の利益確定売りが増えるとみている。ただし、株価が下がれば乗り遅れた投資家の買いが入る可能性が高く、日経平均が3万円を割り込むような局面は想定していない。いずれにしても、もし再び下落するなら、絶好の押し目買いのチャンスとなるかもしれない。
やはり、7月以降の一段の株価上昇、さらなる本格的な上昇相場入りには、デフレ脱却、実体を伴う企業変革の進展、さらには年度後半以降の景気・企業業績の見通し向上などが待たれる。
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