なかなかにドロドロであることは確かです。もとは韓国の番組であることを知るとなおさら納得します。韓国最大手のエンターテインメント企業CJ ENMが企画・製作した「乗り換え恋愛」の番組フォーマットをAmazonが購入し、日本版として製作された番組になります。ちなみに制作を担当した会社は「オオカミちゃんには騙されない」と同じ老舗のテレビマンユニオンですが、予算に違いがあるようで番組内で「ホカンス(=ホテルでバカンスの造語)」をうたう割にゴージャス感は足りません。Amazonを代表する人気恋愛リアリティー番組のバチェラーシリーズと同じレベルとまで行かずとも、5ツ星ホテルで過ごすような非現実感のある演出があっても良かったのかもしれません。
60歳の「人生最後の恋」
最後3つ目の「あいの里」は、Netflixで5月2日に配信開始され、すでに全18話が出そろっています。Netflix公式人気ランキング「今日のTOP10」入りを何度も果たし、週平均の「ウィークリーTOP10」入りが6週も続いていました。
話題になった理由は、何と言っても年齢設定にあります。参加したメンバーは35歳から60歳までと、これまでの恋愛リアリティー番組のイメージを覆すような人生豊かな面々です。惚れた腫れたばかりでなく、金銭感覚や家族事情に触れる現実的な会話も多く、若者が中心の恋愛リアリティー番組とは明らかに違います。
とある「ラブヴィレッジ」の古民家を舞台に、自給自足の共同生活を送る環境もしかり、確かに落ち着いてはいます。田村淳とベッキーのスタジオ解説もあおりすぎず、適度な盛り上げ方です。
そんななか、恋愛リアリティー番組に欠かせない必死さもしっかり残しています。実際の恋愛遍歴が明かされていくと、バツがあったり、不倫もあったりいろいろですが、今回こそ「人生最後の恋」にしようと、そんな想いを持って集まった男女8人(メンバーの入れ替えあり)の姿をカメラに収めているのです。
フジテレビで1999年から10年続いた「あいのり」の制作スタッフが手掛けていることから、参加者1人ひとりの個性を尊重した見せ方も番組好感度の高さにつながっているように思います。なかでも真剣さがずっしりと伝わってきます。ただ、あまりにもカップルの成功率が高く、やらせを疑いたくもなりますが、制作側にとってもカップル数の多さはうれしい誤算だったようです。
ただただ他人の恋愛を見せるだけで新鮮だった時代は過ぎ去り、ありとあらゆるリアリティー番組の新作が生まれる今は、差別化を図る設定は重要なポイントです。同時に求められているのは、繰り広げる恋愛にうそがないこと。リアルな感情こそ、支持されるリアリティー番組の共通項なのかもしれません。
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