「40代がやる気を失うのは会社のせい」という根拠 なぜ日本の組織は社員のやる気を奪うのか

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見るからに誠実そうなカトウさんは、私のインタビューに協力してくれたひとりです。インタビューで、私が「今まで会社を辞めようと思ったことはありませんか?」と質問したところ、興奮気味に、それでいて時折大きなため息をつきながら、この“事件”を教えてくれました。カトウさんの事件はものの見事に上司の無責任さを物語る、極めて優れたケースです(ちょっと変な評価ですが)。

上司は思いつきでものを言うものですが、思いつきはたいてい、責任転嫁です。責任を押しつけた常務さんは「俺ってズルいかも?」なんて微塵も感じていません。“ジジイの壁”に巣くう役員クラスのスーパー昭和おじさんたちには、内省の回路がないのです。

「担当者を決める裁量権」はカトウさんにありましたから、それを逆手にとり、常務さんはカトウさんに責任を取らせることが自分の責任と都合よく解釈しました。その間のプロセスなどまったく関係なし。「会社を辞めようかな」とカトウさんがやる気をなくそうとも関係なし。

「サボタージュ・マニュアル」に書かれていることは、「保身」に役立つ行為であり、人間のネガティブな一面をあぶり出しているのです。

そもそも人間の記憶は川のように流れていて書き換えが可能です。ですから「言った言わない」「聞いた聞いていない」の議論はつねに不毛で、権力なき者に勝ち目はありません。人間には自分の主張を裏づける意見しか見ない、聞こえないという習性もありますから(「確証バイアス」と呼びます)、「無責任な上司」は相当に手強いのです。

もの言わぬ組織のつくり方

おまけに日本の会社組織には「サボタージュ・マニュアル」に書かれていないサボタージュが結構あります。そのひとつが「精神論」です。スーパー昭和おじさんは精神論が大好物。二言目には「頑張ればなんとかなる!」と部下に無理を押しつけます。

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