「40代がやる気を失うのは会社のせい」という根拠 なぜ日本の組織は社員のやる気を奪うのか
しかし、なぜ、「サボタージュは、悪質ないたずら以上のものであり、一貫して、敵の資材や労働力に対して弊害をもたらす行為である」とマニュアルの中で強調されているこれらのサボタージュ行為が、日本の会社組織の「あるある!」になってしまうのか。識者の中には、「いやいや反対だよ。サボタージュ・マニュアルは戦争中の日本を参考に作られたんだよ」と指摘する人もいます。
サボタージュ・マニュアルが作られた1944年1月といえば、“進め一億火の玉だ”をスローガンに、日本のたくさんの兵士の命を奪う消耗戦をやっていた時期です。「日本が坂道を転がり落ちるようにダメ組織になった原因を、OSSが調べて参考にした」という説も、あながち間違ってないかもしれません。
しかし、その真偽がどうであれ、サボタージュ・マニュアルさながらのルールがいまなお日本の会社組織に存在し、サボタージュ・マニュアルに書かれているような振る舞いをする管理職がいるという現実、さらには、周りのやる気を奪っていくような困った会社員がいるというリアルを鑑みると、そうすることで「得する人たちがいる」、あるいはそうせざるをえない「人間の心理」があると考えるのが妥当でしょう。
部下に責任を押しつける上司
例えば、日本の会社では意思決定には、稟議が必要という旧態依然とした制度が存続していますが、これは「責任の分散」です。下からすれば「ちゃんとハンコもらったし」と言い訳になるし、上からすれば「同意したのは私だけじゃない」と責任逃れし、現場に責任を押し付けることもできます。
「常務の口利きで大口のクライアントと契約を結びました。ところが、3カ月間で契約を解約されてしまった。担当者は僕の部下。常務の指名でした。
クライアントはけっこうなクレーマーで、担当者(部下)もお手上げ状態でした。トラブっていることは常務にも伝えましたし、何度か『担当を替えたほうがいいのでは?』と進言もしました。でも、常務は『替えなくっていい』の一点ばり。仕方がないので、担当者に補佐をつけ、僕もこまかな指示を出して、なんとか対処していたんです。
契約解除されてから一週間ほど経った頃です。いきなり常務に呼ばれ、『今回のことは、おまえの責任だ』と。耳を疑いました。
あとから知ったのですが、その前日、常務は契約破棄を知った社長に呼び出され、『今回の案件は、常務直々の管理下で行われていた事業である。契約解除にいたった最終責任は常務にあり、すべての責任を常務が負う立場にある』と迫られたらしい。
慌てた常務は『私はカトウに担当を替えろと何度も言ったが、カトウは替えなかった。責任は担当を替えなかったカトウに取らせます』と弁明して、社長を納得させた。たしかに、担当を替える権限は僕にあります。でも、頑としてゆずらなかったのは常務です。結局、私は始末書を提出させられ、3カ月間の減給処分となりました」
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