インド脱線事故、多数の死者が出た本当の理由 そもそも定員を大きく超える乗客の数が問題だ

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エアコンなしの車両は窓に必ず鉄格子がある。「何のため」とも思われるが、これがないと、窓から列車に乗る客が出てくるのだ。非常口として鉄格子のない窓が1両に2カ所くらいあるが、実際にそこから乗ろうとする人を見たことがある。人を多く乗せること優先の車両なので、ドア幅は狭く、一様に荷物も多いので乗車・下車はスムーズにいかない。我先にと人が群がる。

しかし、この鉄格子があると、非常時に窓から脱出できない。この鉄格子が事故時の救出活動の妨げになったことは容易に想像できる。インドでは冷房車以外は通勤車両も含めてすべて窓には鉄格子や金網があり、いざというとき車外に出られない。かといって現状のような大混雑が続く限り鉄格子は廃止できないであろう。今回は脱線だけであるが、もし出火したらと考えるとぞっとする。

安全への意識改革も必要

インドではこんなこともあった。大都市近郊の長距離列車の停車しない駅のホームで列車を撮影していたときのことだ。列車が通過する際は駅員がホームで緑と赤の旗を持って通過を監視する。すると彼は私に、次は「○○エクスプレス」などと教えてくれた。

ところが、傍らには線路の真ん中で遊ぶ子供たちがいるものの、駅員は注意をしない。列車はつねに警笛を鳴らしながら速度を緩めずに、おそらく最高速度で通過する。見ていてハラハラしてしまう。駅には跨線橋があるものの、階段を登るのが面倒なのか、大人たちも平気で線路を横断する。

列車は年々高速化しているし、列車頻度も高くなっているので、あわてて別の線路に避難しても、反対方向の列車が来てしまうこともあるだろう。

インドでは近年、主要都市で地下鉄が急ピッチで建設されていて、多くでホームドアが採用されている。おそらく将来建設される高速鉄道も、在来線とは別物で、万全な安全対策を行った施設になるのであろう。そんななかで、在来線はなかなか簡単に変われるものではないと思うが、安全への意識が変わっていくことを願いたいものである。

谷川 一巳 交通ライター

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たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa

1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。

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