平気で「朝散歩する人」が知らない怖い健康リスク 医学博士がすすめるのは「夕散歩」だった!

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歩数や中強度の運動は、工夫しだいで十分増やせる。

「80代のある女性は2階にいても1階のトイレに行っていたそうです。暮らしにあえて不便さを取り入れ、目標を達成するのも手。スーパーの入り口から一番遠いところに車を止めて歩く、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使うのもいいですよ」

現在、60歳の青柳先生は、5年前、仕事の忙しさもあり、体調が思わしくなかった。

「もともと喘息の持病があるのですが、会話の途中でよく咳が出るようになっていたのです。健康診断では、血圧、中性脂肪、血糖値がすべて基準値超え。健康指導をしているのに、『医者の不養生』を体現してしまいました(笑)」

これはいつ脳梗塞、心筋梗塞で倒れてもおかしくないと覚悟し、自身もウォーキングを開始したという。

「最初、張り切ってたくさん歩いたら、免疫力が下がって……。中之条研究で皆さんに、『1万歩以上歩くと、病気になります』などと偉そうに言っていたのに、自分がインフルエンザにかかって、『ああ、やはり免疫力が下がってしまった』と反省しました」

食生活も見直して、好きなお酒もいったんやめた。

「ひどかった健康診断の数値も、今は正常値になりました。気になっていた咳もほぼ出なくなり、体調もよくなりました。これからもウォーキング習慣は皆さんを見習って続けたいですね」

データ分析に基づいた、万病が予防できる歩き方を、今日からぜひ試してみて。

健康寿命を延ばす正しい歩き方

ポイント1【毎日8000歩を目標に】

家の中だけだと1日4000歩以上にならない。買い物や図書館などの用事をつくり、1日1回は外出を。時間帯は体温が一番上がる夕方がベスト。1日トータルで8000歩前後を目指そう(脚が痛い人は少ない歩数から始め、だんだんと増やす)。

ポイント2【20分間の「大股速歩き」を取り入れる】

速歩きをするときは特に大股で。速さは「なんとか会話できる程度」を目安にすると、ベストな運動強度になる。20分続けて速歩きをするのが難しい人は、5分、10分と時間を区切って合計20分になればOK。

青柳幸利先生(画像:週刊女性PRIME)
教えてくれたのは
青柳幸利先生●東京都健康長寿医療センター研究所 運動科学研究室長、医学博士。「中之条研究」は世界中から称賛を浴び、高齢者の運動処方ガイドラインの作成に関する研究に従事。

(取材・文/宇野美貴子)

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