ドラマ「unknown」挑戦的すぎるキスシーンの真価 高畑充希の"キス研究"が開花して名作の予感
吸血鬼と人間が愛し合う世界を描く『unknown』(テレビ朝日系、火曜夜9時〜)は、ファンタジーなのか現代サスペンスものなのか、いささかとらえにくいドラマである。まさにunknown(未知)。だが、それを言い換えれば、挑戦作ともいえる。
その挑戦の1つは、やたらと出てくるキスシーンである。キスシーンが多いドラマが敬遠される説もある中、果敢に描き続けるのはなぜなのか。まずは、ドラマの概要を見て行こう。
主人公・闇原こころ(高畑充希)は吸血鬼で、週刊誌記者。その恋人・朝田虎松(田中圭)は人間の警察官でバツイチ、父親(井浦新)は殺人犯である。これだけでもう情報量過多だが、さらに、こころの家族は当然、全員吸血鬼で、父(吉田鋼太郎)はナイトドクターで、母(麻生久美子)はニュースキャスター、弟(井上祐貴)は刑事。
人気テレビドラマに多い職業を集めたような設定の吸血鬼一家は、人間と共生すべく、サステイナブルに生きている。というSDGsに寄り添ったムードから、吸血鬼と人間のコメディ? と思うと、そうでもない。笑いもあるが、ひじょうにシリアスなのである。
“今どき”の仕掛けがちりばめられている
虎松は、20年前に父が犯した事件がトラウマになっていて、その秘密を知ったこころは虎松との結婚パーティーの当日、殺人事件に巻き込まれ、容疑者となる。主人公が吸血鬼というだけで十分ドラマティックなうえに、さらに容疑者。しかも中盤から主人公が容疑者になるというのは、なかなか斬新である。
ただし、1〜5話の冒頭で、この場面が小出しに出てきている。フラッシュフォワードあるいはフラッシュバックという、未来や過去の印象的な出来事を視聴者に見せたうえで、その場面が現在とどう関わっているのか興味を持たせる手法を用いているので、決して場当たり的なものではない。
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