ただし、これらの治療はあくまで美容目的であることから、保険診療ではなく自由診療となる。
ほかにも注意点がある。内服薬のトラネキサム酸は妊娠・授乳中や、ピル内服中には原則、使えない。血栓ができやすくなり、血栓症のリスクが上がるためだ。高血圧、脂質異常症、糖尿病などで血栓症のリスクが高い場合も注意が必要だ。
「これは市販のトラネキサム酸配合薬(トランシーノなど)を使う場合も同様です。ピル内服中の人や妊娠の可能性がある人は、かならず薬剤師に相談しましょう」(山本医師)
こうした治療でも改善が認められない場合は、肝斑に似た別の病気である可能性がある。その1つがあざの一種であるADM(後天性真皮メラノサイトーシス)だ。肝斑同様に30代以降、顔に左右対称に出現する。好発年齢も症状も肝斑とよく似ているため、皮膚科医でも鑑別が難しいことがあるそうだ。
「ADMが肝斑と異なる点は、色と形です。肝斑は茶褐色のシミが面状に広がりますが、ADMはグレーから若干青みを帯びた褐色のシミが、頬や額を中心に点状に集まって表れます。ただし、肝斑とADMが混在していることもよくあります」(山本医師)
ADMと肝斑は治療法が異なるため、やはり専門的な知識を持つ医師(皮膚科専門医)に見てもらったほうがいいだろう。
肝斑を作らないための工夫とは
紫外線に当たらなくてもできてしまう肝斑。防ぐ方法はあるのだろうか。
「まず大事なのは極力、肌を摩擦しないということです。洗顔はとにかく肌にやさしく、余計な刺激を加えないようにしましょう。洗顔料はスクラブ入りのものは避け、よく泡立ててやさしく洗います。クレンジングも指の腹でやさしくなじませる。洗顔後はタオルで肌をこすらず、水気を軽く押さえる程度にします」(山本医師)
メイクの際も、シミを隠そうとファンデーションやコンシーラーで上から何度もこするのはやめたほうがいいという。山本医師が勧めるのは、重ね塗りをしないですむような、色付きのカバー力が高めのファンデーションだ。
肝斑はほかのシミよりも紫外線の影響で起こりにくいが、それでもやはり日焼け対策は必要だ。
(取材・文/石川美香子)
山本晴代医師
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