6月に「11回のXデー」米国の債務不履行で起こる事 刻々と近づく恐怖の未体験ゾーン

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アメリカ国債市場は金融システムの根幹であり、住宅ローン金利から世界で最も広く使われている通貨ドルに至るまで、あらゆるものと分かちがたく結びついている。アメリカ財務省証券(国債)は、政府の信用力の確かさゆえ、現金同等物として扱われることもあるほどだ。

デフォルトは「破壊的なものになる」

基礎としてここまで深く埋め込まれたアメリカ国債市場の信頼が崩れた時の影響を量的に表すのは難しい。ただ、デフォルトが「破滅的なものになる」というエイゴン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー兼金利ストラテジスト、カルビン・ノリス氏の意見に同意しない人はほとんどいない。ノリス氏によれば、「それは恐怖のシナリオだ」。

政府は、フェドワイヤーと呼ばれる連邦決済システムの加盟銀行を通じて債務を支払う。支払いはその後、市場の配管を通って、最終的には個人預金者、年金基金、保険会社、中央銀行など国債保有者の口座に行き着く。

財務省が償還日を変更したい場合には、支払期日前日にフェドワイヤーに通知しなければならず、投資家は政府がデフォルトしようとしていることをデフォルト前夜に知ることになる。

D証券のアナリストによると、5月31日から6月末までに満期を迎えるアメリカ国債は1兆ドルを超えるが、これらは借り換えを行うことでデフォルトを回避することもできる。

一方、支払われるべき利息の額は136億ドルとなっており、支払い期日は11日に分散している。6月に政府が利息の支払いに間に合わなくなる事態は11回起こりうる、ということだ。

次ページ支払いが1回滞れば信用格付けは1段下がる
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