パパ先生なら知っておくべき「男性育休・時短勤務」制度取得の裏側 「時間がなくても幸せ」経験者が断言する理由は
“生野菜とウイスキー”の視点で手に入れた幸福感
2023年2月、森氏と佐賀井氏は、ほかの2名の教職員とともに『先生がパパ先生になったら読む本』を出版した。「こうした切り口の本が出ること自体がすばらしい」と管理職の教員に評価されたことは大きいと佐賀井氏は喜ぶ。
「教育委員会の方からも、『行政も頑張っていかないといけない』と声をかけてもらえました。教員の友人からは、『学校に1冊ずつ置けば職場がよくなるね』という感想をもらっています」。
森氏は出版がきっかけで、新聞社やラジオの取材を受ける機会を得た。「新聞記事をコピーしたものが職場に張られ、いじられています(笑)。子どもが生まれたばかりの若手パパ先生から子育ての相談をされるようにもなりました」とほほ笑む。
時間に制約があるパパ先生だが、物足りなさを感じることはないのだろうか。
「“自分の時間ってないですよね?”とよく聞かれますが、確かにありません。でも、物足りないという感覚は正直ないです。自分のために時間やお金を使うのは若いうちだけで十分。今は『パパ、抱っこして〜』という子どもの声や家庭内の要望、仕事や外部からの依頼などほかの人のために時間を使い切りたいと強く思うようになりました。自分にできることが、人の役に立てればうれしいです」(森氏)
「育児や家事が忙しいから、仕事に対して物足りないと感じることはないですね。毎日が充実していて幸せです」と佐賀井氏は胸を張る。限られた時間を有効に活用するために意識しているのは“生野菜とウイスキー”だという。
「私が尊敬する方の言葉なのですが、生野菜は鮮度がどんどん落ちていきます。この視点で物事を見ると、娘とのお風呂や息子の寝かしつけは、今後できなくなっていくことなので生野菜と一緒。今のうちに楽しみたいと思っています。逆に、ウイスキーは寝かせるほど熟成しておいしくなるので、すぐ手をつけるのは我慢して、後の楽しみにすべきようなことを指しています。この“生野菜とウイスキー”の考え方は、あらゆる仕事や家事・育児に当てはまると思っています」(佐賀井氏)
パパ先生としての人生を充実させる秘訣は、物事の的確な取捨選択と、その選択に納得できるポリシーを持って生きることなのだろう。
(文:せきねみき、注記のない写真:polkadot / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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