時代に合わせた授業改革もカギ、多忙でも17時に帰る「公立教員の時短術」 保護者対応も凄い「庄子寛之流マインドセット」

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なかなか進まない学校の働き方改革。だが、さまざまな工夫を積み重ね、定時退勤を実現している教員もいる。都内の公立小学校に勤務する庄子寛之氏もその1人だ。かつては学級担任をする傍ら、女子ラクロス日本代表監督を務め、心理学を学ぶために大学院に通い、2人の子育てにも奮闘するという超多忙な日々を送っていたが、その頃も今も基本的には定時で帰る。働き方改革研修の講師なども務める庄子氏に、日常で駆使している時短術やマインドセットについて聞いた。

ご機嫌でいることが大切?「定時退勤のライフハック」とは

教材研究や校務、子ども同士のトラブル、保護者対応――学校の教員がやらなければならないことは山ほどある。こうした中、学校外で教育関係者向けの講演会なども行っている庄子氏は、全国の教員たちから長時間労働のつらい実態を聞いている。

「圧倒的に多いのは、授業に関係ない仕事が多すぎるという声です。例えば指導要録の作成とか、なぜ実施するのかよくわからないアンケートとか。印鑑レスが推進される時代ですが、書類の印鑑は必須、誰も見ないような校務文書もきれいに作成して保管しなければならない。基本的に職員室でしか仕事ができないので終わるまで帰れないですし、そのほか保護者対応が年々難しくなっているという声も上がっています」

庄子 寛之(しょうじ・ひろゆき)
東京都公立小学校指導教諭
大学院にて臨床心理学科を修了。道徳教育や人を動かす心理を専門とする。学級担任をする傍ら、「先生の先生」として、全国各地で教育関係者向けに講演を行う。最近では企業や保護者向けの講演も実施。担任した児童は500人以上、講師として直接指導した教育関係者は2000人以上。元女子ラクロス日本代表監督の顔も持ち、2013年U-21日本代表監督としてアジア大会優勝、19年U-19日本代表監督として日本ラクロス史上トップタイの世界大会5位入賞を果たす。近著は『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)

とくに厄介なのが書類づくりだ。授業中にはできないから、授業後にやろうと思っても会議がある。会議後に書類に取りかかると、翌日の授業準備が遅くなる。だが準備を怠ると、つまらない授業になって子どもたちが荒れる。

「今の教育現場は、そんな悪循環にあるのでは。現代の教員のいちばんつらいところは、子どもたちに関わるやりがいのある仕事に時間を割けないという点にあります」と、庄子氏は指摘する。

しかし、1日は24時間しかない。限られた時間の中でよりよい授業を行い、プライベートでも家族と過ごしたり趣味や自己研鑽に時間を費やしたりするには、仕事の効率を上げるほかない。そのためには、前提として教員自身のマインドセットが重要になる。

「まず大事なのは時間を設定すること。私は17時に帰ると決めています。あれもこれもやろうとすれば、いくらでもやれてしまいますから」と、庄子氏は強調する。

朝の出勤に合わせて起きる時間を決めるのと同じように、定時に帰ると決めて「残りの時間はこれだけしかない」となれば、時間内に物事をどう進めればいいか逆算して考えるようになる。いつも19時、20時くらいに退勤する人であれば、無理に定時と決めず「1時間早く帰る」など、実現可能な時間で取り組むだけでも生産性が高まるのではないかと庄子氏は言う。

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