井上:模倣されるリスクはないのでしょうか。
津田:マイクロ流路を使って行うプロセスは、われわれの特許で知財化していますが、それだけではありません。普通にやろうとすると何十万円、何百万円というコストがかかるんです。それを、いかに安く読み込むかというところにノウハウがある。
だからライバルとの差をどんどん広げることができます。同じコストをかけても、われわれのほうが断然、効率よく読める。たくさんデータが取れるので、データが蓄積されるスピードも速い。その差は幾何級数的に広がっていく。
データ量に関していえば、われわれのデータベースには、現段階でおおよそ12億の遺伝子があります。公共データベースが大体10億ぐらいです。しかも、われわれのデータベースには、公共データベースに含まれていない遺伝子がたくさん含まれています。2023年中には20億近くまで増やしたいですね。
成果報酬型ビジネスモデル
井上:ビジネスモデルについてはいかがでしょうか。御社の高度な技術とデータベースを収益化する仕組みづくりについてお聞かせください。
津田:われわれのバイオものづくりにおけるビジネスモデルは主に2段階から構成されます。
最初の段階でアップフロント・フィー(契約時の一時金)をもらい、酵素の種を作ります。その酵素の筋がよく、次の段階に進んだらマイルストーン・フィーをもらう。その酵素の権利については顧客企業と共同開発、または顧客に権利を渡すなど柔軟に対応できますが、ステージが進んだら追加フィーをもらうという新しいものです。
これは短期の収益化も狙いつつも、長期ではホームランを狙えるビジネスモデルだといえます。通常の創薬開発におけるビジネスモデルとは違って、初期段階では酵素開発を小さくスタートし、あとは成功報酬を追加するようなイメージですね。
井上:なるほど。確かにこれだとステージごとに受託開発をいただくのとは違いますね。
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