津田:受託というのは一定の額をもらって言われたことをやる契約です。だから、支払いとしては1回で終わり。われわれの場合は着手金をもらって研究開発し、成功したら報酬をもらう。実際に商品化することになったら、さらにマイルストーン、場合によっては売り上げや利益の何%かのロイヤルティーがもらえる。
井上:顧客ターゲットは製薬企業ですか。
津田:製薬企業さんとはお話しさせてもらっていますね。薬を作る技術、プラットフォームとしてのわれわれの技術を評価してもらっているという感じです。
それ以上に、食品や化成品のメーカーともお話しします。最近は、とくに脱炭素とか脱石油の文脈でお話をいただくことは多いですね。バイオものづくりは、現時点では石油に比べてコストはかかるのですが、それでも将来のリスクに備えたいということのようです。
かつては垂直統合をしていた大手企業が、外注するようになりました。大手食品会社でも自分でアミノ酸を作っていたのですが、それが最近変わってきた。
海外での実績を日本に逆輸入する
井上:このビジネスモデルは世界に通用しそうですね。世界展開についてもお聞かせいただけますか。
津田:すでに海外の企業とお話ししています。やはりスピード感が違いますね。海外の企業だとすぐに秘密保持契約を結んで話をしようと言われます。1カ月とか、場合によっては1週間とかで詳しい話ができます。
海外で大きな契約を取って、日本の企業に実績を逆輸入することが重要だと考えています。だから海外の企業とゲノム編集のための酵素などに焦点を当ててお話ししています。バイオものづくりの企業といろいろコラボレーションの話が進んでいます。
アメリカに行って感じるのは、西海岸でも東海岸でもローカルな横のつながりというのがすごいこと。海外のイベントに行っても、われわれ以外に参加している日本企業が少ないのは残念ですが、日本の技術には海外企業から関心を持ってもらっており、話が進みます。一方、そうしたイベントはずっと顔を出している人たちのインナーサークルが大事で、そこに顔を出し続けていくことが関係を築く上で大事になってきます。
井上:⼀気に関係を築き、集中的に営業攻勢をかけたい時期ですね。新しいビジネスモデルを通じていろんな業界でホームランをたくさん打てることを期待しています。
経営学者・井上達彦の眼
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