発酵食品のように微生物が働くバイオものづくり bitBiomeはゲノム解析と成果報酬モデルを駆使

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井上:そうするとたくさんのDNAを読み込んで、筋のよいものを特定していく必要がありそうですね。

津田:われわれには、微生物を一匹一匹、高精度に解析する技術があります。それが、微生物のシングルセルゲノム解析というものです。

強みは、既存の技術では読めない微生物の遺伝子が読める点です。世の中に知られていない遺伝子のデータをわれわれは持っている。公共に向けてオープンにしていないので、ライバルに対しては、独自の強みで対抗できるわけです。

井上:シングルセルゲノム解析というのは、どのようなものでしょうか。

微生物を培養せずに、遺伝子を読み込む

津田:腸内細菌や土壌の微生物、海の微生物をマイクロ流路という装置でばらばらにする。数十ミクロンの流路の中を微生物が流れてきてオイルでプチプチ切るんです。いわゆるドレッシングみたいな状態です。水と油が混ざった状態で、水の中に微生物が入っていて、その周りには油があるみたいな状態です。装置を使って一定の長さで液体を流すことで均一なサイズの水の玉ができる。

そこで、玉を包む溶液を入れ替え、菌の細胞膜を溶かすような液を入れてゲノムを取り出す。酵素を入れて個々の玉の中にDNAを閉じ込めたまま増やす。それで装置を使ってより分け、一個一個分離した後に次世代シーケンサーでDNAを解析して読み込むんです。

このプロセスの中で、培養するプロセスは入っていません。これまでの技術だと培養できないゲノムの解析はできないんです。そして培養できるのは1%未満で99.9%は解明できていないんです。腸内細菌でも培養が難しいものがありますし、土壌微生物はさらに難しい。

われわれの技術だと培養しなくてもゲノムのデータが手に入る。それがシングルセルゲノム解析です。このプロセスを作ったのがCSOの細川正人(早稲田大学准教授)です。

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