物流にインフラ点検、用途で違うドローンの頭脳 ACSLは顧客企業と一緒に開発の旅を楽しむ

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井上:このビジネスモデルは世界に通用するでしょうか。世界戦略についてもお聞かせいただけますか。

鷲谷:日系のドローンメーカーには追い風が吹いています。とくに直近の1〜2年は経済安全保障の問題がクローズアップされていますし、脱中国の流れも進んでいます。

われわれも、経済安保の観点からターゲット市場を定め、アメリカ、ASEAN(東南アジア)、インドの3つに焦点を定めています。この3つの市場について、それぞれ別のモードで入ろうと思っています。

アメリカはドローン先進国なので、要件定義も明確です。コンサル的な役割はたいして求められてないので、日本で作ったのを向こうで販促をするという販社的な参入を考えています。

ACSLのドローンデモ
アメリカでの顧客向けデモ(ACSL提供)

一方の東南アジアは、PoCのフェーズからちゃんとエンドユーザーを教育していくことが大切なので、R&D(研究開発)に重きを置いた地域として参入します。

そしてインドは政府の方針として、国内で雇用を作ることが必須なので、インドに生産拠点をつくります。われわれにとっては製造をベースとした参入市場モデルです。

井上:アメリカ、東南アジア、インドでそれぞれビジネスモデルが違ってくるということでしょうか。

日本ですべてを経験し、部分を海外市場へ

鷲谷:むしろアレンジして転用できると思っています。われわれは国内で、コンサルと実証実験、機体の量産、販売、アフターフォローのすべてを経験しているので、あるビジネスモデルのある部分を抜き取って別の市場に持っていくというのがやりやすいんです。

アメリカだったら完全に販売の接点だけを考えよう。東南アジアだったらPoCとR&Dに重きを置こう。インドだったら製造のところから組み換えよう。ノウハウを使いまわせる点が面白いと思います。

井上:なるほど。基本的にビジネスモデルを組み替えつつ横展開できるということですね。

鷲谷:おっしゃるとおりです。要は、海外に出るときに日本でどこまで価値づくりするのか、海外で何を補うのか。そのピースの動かし方を設計すれば済むので、とても効率的です。

ただし製品については、日本のものをそのままインドに持っていってもうまくいきません。日本のものはオーバースペックなのでローカライゼーションが不可欠。それでも、試作から入り込んでいくというビジネスモデルのパーツは転用が利きます。

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