鷲谷:ややこしい話は一切せず、ドローンの本体側に生まれる権利以外は求めません。きれいに線引きをしています。
受託開発なので、ドローンの本体以外は、データも含めてお客さまの方で権利を保有してくださいと言います。別のメーカーさんのソフトを使いたいとか、他社のデータサーバーに実装してますとか、いろいろあります。
要はわれわれがプラットフォームを作ってそこに乗せようという意図はないんです。欲を出し過ぎると絶対に成功しないんです。やっぱりお客さまとしてはビッグデータを自分で蓄積して持っておきたいものです。だから、われわれとしては全然必要ないです、と言っています。
もっとも、お客さまが膨大なデータを持っていても使いこなせないこともあります。ドローンがどこを飛んだかという情報、その時の挙動、どんな画像を撮ったのかは、ドローンに関する知見がないと難しい。
われわれはノウハウを持っているので、お客さまをいつでも助けることができます。
井上:仕込みに時間と労力が必要な感じがしますが、試作やPoC(概念実証)でも収入は得られるのでしょうか。その後、どのように投資回収できるのですか。
本気になってほしいから、お金をとる
鷲谷:無料のPoCはやらないと決めています。お客さまのペインポイントを理解しなければならない。高所からの転落事故などリアルな話を聞かなければ、表面上の当たり障りのない話に終始してしまう。
だから相手側にも真面目にコミットしてもらう必要があるんです。無料だと本気になって動いてもらえない。たとえ50万円でも100万円でもいいから一回やらせてくださいと持ちかけます。担当者の決裁権限とか、稟議の大変さも会社によって違いますからね。
ただし、最終実験のときには必ず上司を連れてきてもらいます。
実験が成功して、導入となれば機体の売り上げへと結びつきます。2022年12月期はいろんな量産機体をローンチできたので、機体販売の売り上げが10億円にまでなりました。それまでの仕込みがあったからこその実績です。
2022年12月期の実績は、それに加えて試作PoCが4億円、アフターサービスや部品が2億円なので、全体の売り上げは16億円程度です。試作PoCが次年度以降の仕込みになるので、この4億円をどこまで機体の売り上げにコンバートできるかがポイントです。
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