赤字のハイアット・ホテルズが挑んだ大きな賭け 「アンダーズ」「ゾエトリー」「ドリームズ」…

✎ 1〜 ✎ 56 ✎ 57 ✎ 58 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ハイアットは2021年11月、欧米で高級リゾートホテルを展開する米アップル・レジャー・グループ(ALG)を27億ドルで買収。約100軒・3万3000室以上の客室を一気に獲得した。

「ゾエトリー」「ドリームズ」「シークレッツ」をはじめ、ALGのホテルの特徴は宿泊代金にホテル内の食事やドリンク、アクティビティーなどの料金がほぼすべて含まれる「オールインクルーシブ」。いわば食べ放題・飲み放題・遊び放題の高級版だ。

グランド ハイアットとアンダーズの第1四半期の客室稼働率はそれぞれ67.2%、69.6%だったのに対し、オールインクルーシブタイプのブランドは77.8%と高く、当社の業績回復を支えている。

ホテルだけでなく予約サービス会社も買収

当社が仕掛けたM&Aはこれだけではない。

2023年2月、高級ホテルの「チャットワル」などを手がけるアメリカのドリーム・ホテル・グループを買収し、12軒・1700室以上を追加。この買収により、ハイアットのニューヨーク市の客室数が30%以上増えた。

ハイアット・ホテルズが買収したドリーム・ホテル・グループの「チャットワル ロッジ」(画像:ハイアット・ホテルズ)

4月28日には、高級ホテル1500軒以上の予約サービスを提供する英Mr & Mrs Smithの買収を発表した。フィジーやクロアチア、アイスランドといった、現在ハイアットがホテルを展開していない20カ国以上でのポートフォリオ拡充を期待できるという。

画像を拡大
ハイアット・ホテルズの日足チャート(画像:トレーディングビュー

ハイアットの株価は2022年末に200日移動平均線(赤)の付近で反発。今年の3月以降は100日(青)や50日(緑)の移動平均線がサポートライン(下値支持線)となっている。

目先は1~3月期の黒字復帰をバネに、3月7日につけた年初来高値の125ドルを超えられるかがポイントになりそうだ。

なお、「会社四季報オンライン」の米国株サービスでは当社の最新の業績・株価をグラフやチャートで確認できる。世界最大手のマリオット・インターナショナル(MAR)をはじめ、ヒルトン・ワールドワイド(HLT)やインターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(IHG)など、同業他社と比較しながら分析・研究いただきたい。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

加藤 千明 ファイナンシャル・プランナー、「アメリカ企業リサーチラボ」運営

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

かとう ちあき / Chiaki Kato

大手証券会社勤務の後、1993年7月、東洋経済新報社に入社。主に統計指標をベースとした刊行物を担当する一方、電機・化学業界担当記者としてITバブルの全盛期と終焉を経験。その後は、マクロ、マーケットおよび地域動向を主戦場に、データをもとにした分析、執筆などを行う。2005年より『東洋経済 統計月報』編集長、2010年より『都市データパック』編集長。『米国会社四季報』編集部を経て、2021年2月に退社。現在はファイナンシャル・プランナーとして活動するかたわら、アメリカ企業の決算情報を中心にSNSで発信。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事