エルヴォーさんは1975年、フランス・パリで、僧侶の弟子丸泰仙(でしまるたいせん)さんのもとで座禅を始めました。「弟子丸泰仙の教えは、誠実で、寛大で、インパクトがあり、シンプルなものでした。その教えは瞑想に基づきながら、創造性をもって私たちの日常生活に浸透していくものでした」。
エルヴォーさんと禅の出会いは突然でした。ある日、車のタイヤがパンクしてしまい、修理後に手を洗おうとしていた時のこと、彼は小さなお店に入り、そこで禅のセッションが行われていることを知ったのです。
「禅とは何ですか」と彼が尋ねると、彼は中に入るように促され、その日初めて禅のセッションを行いました。それ以来、ずっと禅を続けていると言います。当時、禅は日本やアメリカでは知られていたものの、ヨーロッパでは知られていませんでした。
ヨーロッパ人の習慣に合うようにした
振付師のモーリス・ベジャールや歌手のダリダなど、有名人も弟子丸の禅のセッションに参加していました。エルヴォーさんはドキュメンタリー監督・プロデューサーとして活躍する傍ら、1978年、弟子丸さんより「龍玄」の名で僧侶の戒律を受けました(弟子丸さんは1982年に死去)。
弟子丸さんは、禅の瞑想が真に普遍的なものであることを知っており、瞑想の形式主義や不必要な慣習を排除し、ヨーロッパに禅の瞑想を広めました。そして何より、彼は自分の教えと姿勢をヨーロッパ人の習慣に適応させたのです。そのためには、禅は革新的で創造的であり続ける必要がありました。
弟子丸さんがフランスで始めた禅の普及活動に日本ファンとして知られるフランスのジャック・シラク元大統領も大いに賛同し、パリ東部のヴァンセンヌの森の公園内に塔が設置されることになりました。現在もそこには弟子丸さんの彫刻があります。
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