「怖い」と言われ…日本に住む黒人たちの苦悩 すれ違いざまに罵倒、留学生の中で孤立も
ワイズさんは先月東京で開かれた『Let's Talk About It - Mental Health』のパネルディスカッションに登壇した1人だ。100人が参加した同イベントでは、日本に住む外国人と、外国人を対象にカウンセリングサービスなどを手掛ける「TELL Japan」の専門家らが、日本での生活に適応する難しさなどを語り合った。
言葉も文化もまったく違う国に住むことはエキサイティングであると同時にストレスやショックを受ける場面も少なくない。中でもアフリカ系の人々は、ほかの外国人とは違うストレスを感じている、思うことも少なくないようだ。
世界的プロダンサーが体験した「差別」
日本に長期滞在しているテリー・ライトさんも、自身が日本で感じるストレスはほかの外国人のそれとは異なると感じている。
同氏は世界的なプロのダンサーかつスインストラクターで、マライア・キャリー、ウィル・スミス、リル・キム、故ホイットニー・ヒューストンらと共演したこともある。
ライトさんは「ジョージ・フロイド事件」で、アメリカがアフリカ系の人々を不当に扱ってきたことに世界が注目したとき、彼は自身がいかにストレスを感じてきたかを実感したという。もっとも日本文化において黒人がどのように見られていうかを知っていたので、状況が改善することはないと感じていた。ストレスを感じる特定の出来事を挙げるのは難しいが、と前置きしながら、こんなエピソードを話してくれた。
「ある日、息子と一緒に自転車に乗って歩道を走っていたら、年配の日本人男性が、歩道を走っている私を責めながら、肋骨を殴ったんです」とライトさんは、苦笑しながら語った。
「それから彼は私にこう言いました、これは日本だ。ここにはルールがある。気に入らないなら、出ていけ! と。こういった状況では、私たちは少数派です。誰とも話すことができず、孤立して、心の中に溜め込んでしまいます。しかし、こういったことを胸の中に抱え込むことは、間違いなく私の精神的健康によくないでしょう」
「息子の前だったので、言い返すこともできませんでした。とても傷つきました」と、ライトさんは加えた。
「そういう状況では、自分がどう見えるかを気にかける必要があります。その状況で、感情を抑えなければなりません。私の行動全ては、私たち全員に影響してしまう。日本人は、そういった傾向で私たちを見ているのです。これもまた、私の精神的健康への負担となります。本当に孤立感を強く感じます。ボウル一杯の砂糖の中の、ひとつまみのコショウのような気分ですよ」
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