「人生は自由だ」そう感じられる人は何が違うのか 「自己決定」こそが必要な技術だ

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その個性をうまく活用して、うまくやっていくためには、自分自身の経験や価値観からなる〈自分軸〉を客観視(メタ認知)することが判断の起点になります。

そして、いまぼくたちが暮らしている世界、つまり一般化した科学技術や社会インフラ、そして流行を含めた〈最新の世界観〉を把握することが必要不可欠なのです。

無自覚に思考の前提にしている「何か」

世界の仕組みと自分自身を知り、現状に合わせることではじめてぼくたちの選択が織りなす物語は動きはじめ、人生を豊かにし、人々を巻き込み、壮大に展開していきます。

ぼくはこれらの〈世界の基本構造〉〈自分軸〉〈最新の世界観〉の3つを合わせて「実践リベラルアーツ」と呼んでいます。今回の本は、ぼくが担当している中学高校や大学院での「リベラルアーツ」の授業をもとに、この3つを認知し、思考し、身につけるための基本となる視点と知識の体系化を目指しました。

ぼくたちが不安になるとき、ネガティブになるとき、必ずといっていいほど「何か」にとらわれています。それは〝普通〞や〝常識〞という基準なき呪縛かもしれないし、〝成績〞だったり〝立場〞だったりするかもしれません。だいたいは当たり前だと思って無自覚に思考の前提にしてしまっている「何か」です。でも、本当にそれは当たり前のことなのでしょうか? 変えられないことなのでしょうか?

『自分で考える力を鍛える 正解のない教室』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

本当の自分を押し殺して周囲に合わせることが正しい、あるいはそうやって生きていくしかないのだと思い込んでいる人があまりにも多いような気がします。その世界観から抜け出すために必要なのも「リベラルアーツ」です。

今回の本には、自分がとらわれていた「何か」にぼく自身が少しずつ気づいて、楽になったり、ワクワクしたり、行動を起こすきっかけになったりした視点や考え方を順序立てて紹介し、追体験しながら探究するためのキーワードをできる限りちりばめ、思考を広げるための〝地図〞や〝矢印〞も仕込みました。

いったい「リベラルアーツ」とはなんなのか? それを感じて、身につけ、自由に生きることを楽しむきっかけになることを願っています。

矢萩 邦彦 「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授

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やはぎ くにひこ / Kunihiko Yahagi

大手予備校で中学受験の講師として20年勤めた後、2014年「すべての学習に教養と哲学を」をコンセプトに「探究×受験」を実践する統合型学習塾「知窓学舎」を創設。「探究型学習」の先駆者として2万人を超える生徒を直接指導してきた。現在もプレイングマネジャーとして現場に立つ。多摩大学大学院で「実践リベラルアーツ論」を受け持つほか、中学・高校でもリベラルアーツの授業を担当している。

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