「勝ち負け」にこだわり"暴れる子"が抱える苦悩 普通学級にいる「グレーゾーン」の子どもたち

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順番を待てない、というのもその1つです。ブランコの列に並んでみたものの、交替が待てず、友だちにちょっかいを出したり、大声を出したりします。

友だちから「ちゃんとしろよ」と言われると、その友だちに暴言を吐いたり、叩いたりの他害行為が出てきます。

普通学級に在籍するグレーゾーンの子ども

発達障害とは別に、グレーゾーンの子どもは、担任の先生や保護者は「発達障害ではないか?」と疑っているものの、小児精神科で「発達検査」を受けていないため診断名をもたず、普通学級に在籍しています。

私はこれまで40年以上、神奈川県で小学校の教員として働いてきました。最初の15年間は健常児の子どもを相手に授業を行ない、その後の25年間は私の希望もあって、発達障害の子どもを特別支援学級で、あるいはグレーゾーンと呼ばれる子どもたちを普通学級で指導してきました。

退職後の現在も、小学校で特別支援学級の非常勤講師として働き、グレーゾーンの子どもたちの学習支援を行ない、また、保育園や幼稚園から小学、中学、高校まで、市や保護者からの要請を受けて障害のある子どもたちの訪問支援を続けています。

さらに、放課後の児童支援員もしながら、子ども、保護者、担任の先生、相談機関などと連携し、指導支援をしています。

そうした長年の経験から、発達障害あるいはグレーゾーンにある子どもたちの行動にはどんな特徴があるのか。いくつかご紹介することにしましょう。

●パニックを起こしやすい

小学校に入学すると、誰もが慣れない環境で新生活がスタートします。このため、子どもたちはただでさえ不安です。そんな中で、教室の騒がしさでイライラし、耳を塞ぐ、大声を出す、机の下にもぐる、勝手に席を離れて教室の外へ飛び出すなどパニックになる子がいます。

(本書より引用)

実は、私たちが意識しないようなかすかな音でも、耳障りな騒音に聞こえ、両手で耳を塞いで机に突っ伏してしまったり、癇癪を起こしたりしてしまうのです。先生は注意をしますが、いったん始まった癇癪は止まりません。注意すればするほど、ひどくなります。

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