高浜原発再稼働に司法が運転差し止め仮処分 カギ握る4月22日の鹿児島地裁の判断

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 4月14日、関西電力高浜原発3,4号の運転差し止め仮処分を認めた福井地裁の決定は、原発再稼働を進める政府と電力会社に司法の冷水を浴びせる形となった。写真は原子力規制委員会の田中委員長、2013年8月撮影(2015年 ロイター/Issei Kato)

[福井 14日 ロイター] - 関西電力<9503.T>高浜原発3,4号の運転差し止め仮処分を認めた14日の福井地裁の決定は、原発再稼働を進める政府と電力会社に司法の冷水を浴びせる形となった。

ただ、担当した樋口英明裁判長は過去にも原発に批判的な判断を示しており、今回の決定が他の原発関連訴訟に波及するかは不透明。

司法判断の行方を占う上で、今月22日に九州電力<9508.T>川内原発1,2号に対する仮処分を裁く鹿児島地裁の判断に注目が集まっている。

原子力規制委員会への痛烈な批判

樋口裁判長は昨年5月にも関電大飯原発3、4号の運転差し止めを求める住民の訴えを認める判決を出している。この時の判決で樋口氏は、生命や身体、精神や生活に関する利益を、憲法で保障された「人格権」と規定。原発の運転によって「人格権が侵害される具体的な危険がある」と断じた。

今回の仮処分決定で、同裁判長は、原子力規制委員会に批判の鉾先を向けた。東京電力<9501.T>福島第1原発事故を契機に、規制委が2013年7月に施行した新規制基準について、同裁判長は決定文の中で「緩やかすぎて、これに適合しても原発の安全性は確保されない」と断定。再稼働に向けた審査の前提となる新規制基準自体を否定するという厳しい判断を示した。

今回の仮処分申請の仕掛け人で、「脱原発弁護団全国連絡会」の共同代表を務める河合弘之弁護士は、仮処分決定後の記者会見で「高浜3、4号だけでなく、欠点だらけの新規制基準によって他の原発が再稼働すること自体が誤りだといっている。それが意義深い」と強調した。

一方、推進側は同決定が今後に影響する可能性は少ないとみる。元通商産業官僚で、日本経団連系のシンクタンク、「21世紀政策研究所」研究主幹の澤昭裕氏は、脱原発派が仕掛ける法廷闘争が高裁など上級審へ進んだ場合、今回のような司法判断は出ないと予想する。

澤氏は、公衆の安全と財産を守る原子炉等規制法のもとで行政による安全規制の仕組みが機能していると指摘。そうした現状を踏まえずに、裁判所が「専門家の意見もあまり聞かないで判断する判決は多分出ることはないだろう」と話す。

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