地味だが便利な「横浜市民の足」根岸線の7つの謎 全線開通50年、京浜東北線との境はどこ?
■Q6:桜木町駅の先で貨物列車はどこに消える?
根岸線は、根岸湾埋め立てにより造成された臨海工業地帯の貨物輸送を主な目的として建設されたが、沿線開発が進んだ結果、通勤・通学路線としての色合いが濃くなった。
現在、貨物輸送は桜木町―根岸間で定期列車が設定されており、根岸駅発着の石油タンク列車が、竜王、八王子、坂城、倉賀野、宇都宮などに向けて、平日を中心に運行されている。また、神奈川臨海鉄道本牧線(根岸―横浜本牧―本牧埠頭間)の横浜本牧駅発着のコンテナ列車が根岸駅から乗り入れて直通運転を行っており、休日を除いて1日1往復運行されている。
神奈川臨海鉄道は、川崎地区に浮島線・千鳥線の2路線、横浜地区に本牧線の計3路線の貨物線を保有・運行するJR貨物グループの企業である(2023年2月26日付記事「川崎・横浜の港を走る、知られざる『貨物線』の実力」)。関内駅や桜木町駅ホームで電車を待っていると、こうした貨物列車が通過するのを見かけるが、桜木町駅の先でどこかへ消えていき、横浜駅にはやってこない。どこへ向かっているのだろうか。
実は、桜木町駅の先で旅客線と分かれ、東海道線の貨物支線の1つである高島線(鶴見―東高島―桜木町)に入っていくのである。しかも、市営地下鉄の高島町駅付近からはトンネル区間に入るため、あたかも線路が”消える”ように見えるのだ。
高島線が再び地上に顔を出すのは、横浜アンパンマンこどもミュージアムなどの裏手、帷子(かたびら)川沿いにおいてである。この付近一帯は、1995年に廃止された貨物駅・高島駅の跡地であり、その一画にある高島水際線公園内の跨線橋上は、貨物列車の絶好の撮影ポイントとして知られている。
首都圏のSL最末期に開業
■Q7:根岸線を蒸気機関車が走ったことがある?
根岸線は、当初から「電化」を前提に建設が進められたが、蒸気機関車が運転されたことがある。磯子―洋光台間の開業を控えた1970年2月12日と13日の2日間、「D51」形2両が、開業前の「地固め」のために運転された。
そのわずか8カ月後、首都圏の国鉄ダイヤから蒸気機関車が消えることになる。首都圏で最後まで蒸気機関車が生き残ったのは前述の高島線だったが、1970年10月、電化により蒸気機関車の運用が廃止された。その際には3日間にわたり「さよなら蒸気機関車号」が、東京駅と新港埠頭にあった横浜港(よこはまみなと)駅間で運転された。根岸線工事が行われたのは、まさに、首都圏における蒸気機関車最後の時代だったのだ。
さて、根岸線は路線距離約22km、所要時間約30分という短い路線だが、車窓風景が刻々と変わっていく楽しさがある。また沿線には横浜中華街や三渓園などの観光名所があり、新杉田駅で横浜シーサイドラインに乗り換えれば八景島にも行くことができる。これからの行楽シーズンにぜひ利用してほしい路線だ。
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