大震災で発生したがれきや廃自動車の行方、宮城県内だけでがれき1800万トン、廃自動車14万台
東日本大震災の被災地では、通常のゴミ処理に加えて、瓦礫(がれき)や廃自動車といった大量の災害廃棄物が深刻な問題になっている。
宮城県の推定によれば、地震および津波で倒壊した家屋は約14万戸。発生したがれき(倒壊した家屋や家財道具など)の量は1500万~1800万トンにのぼるという。これは県内で年間に発生する家庭ゴミの19~23年分に相当する。ただ、阪神・淡路大震災では当初、1000万トンと推計されていたがれきの量が、その後、倍の規模に上方修正されたこともあり、東日本大震災で発生したがれきが最終的にどれだけの規模に上るかはわからないという。また、この数字には、被災した廃自動車や船舶は含まれていない。
廃棄物処理法によれば、市町村ががれき処理の主体となっている。しかし、津波により役所が流された自治体もあり、事実上、市町村による処理は不可能に近い。市町村が自ら対応できない場合は近隣の市町村の手を借りる方法もあるが、海岸部がことごとく被災した震災地域では、他の自治体の手助けを得ることも困難。宮城県の対応能力も限られている。
また、がれき処理の仕組みづくりも難題だ。まず、がれきを撤去したうえで、市町村が定めた1次保管場所(仮置き場)に搬入する。そのうえで焼却施設に近い2次保管場所に移したうえで焼却・埋め立て処分を進めていく。1次保管場所は市町村が独自に設置。多賀城市のようにすでにがれきの一時搬入を始めた自治体もある(下の写真は多賀城中央公園に運び込まれたがれき)。反面、多くの自治体では、がれき撤去はまだ手付かずだという。
現在、宮城県では、2次保管場所の候補地選定の検討に入っているが、「なかなか適地が見当たらないのが実情」(県廃棄物対策課)。「平坦で地盤がしっかりした場所が望ましいが、そういった場所は仮設住宅などほかの用途でもニーズが高く、制約がある」(同課)。