日経平均は反発後、4月以降下落する懸念がある 米欧の金融不安は短期的には収まった可能性
アメリカの金融当局は2行の預金を全額保護するなどと発表。さらに筆頭株主が追加投資を否定したことなどで株価が暴落したクレディ・スイス・グループも、19日までにスイス中央銀行による流動性確保策や同国の金融最大手UBSによる買収が決定、なんとか世界に広がる信用不安の連鎖は食い止められた。
加えて、日米欧の中央銀行6行が協調して市場へのドル供給を強化すると発表した(4月末まで継続予定)ことで、20日以降、マーケットは落ち着きを取り戻しつつある。
今後の株価はどうなるのか?
当面の株価はどうなるのか。アメリカの地方銀行やクレディ・スイス・グループなどに対する信用不安が短期的には収まる可能性がある。その際は、少なくとも今月末までは、連鎖的に安くなった金融株を中心に、欧米株や日本株も同様に反発しよう。
もちろん、引き続き、日米の中央銀行の金融政策決定会合やマクロの重要指標などにも注意が必要だ。特に注目したいのは、21~22日に開催されるアメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)の行方だ。現状では0.25%の利上げが市場のコンセンサスだが、一部の米欧銀行の信用不安をどの程度考慮するのかを十分確認したい。
一方、東京証券取引所が「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」で改善を促したことでにわかに注目を浴びた「PBR1倍割れ銘柄(低PBR銘柄)」にも再度スポットライトが当たりそうだ。高配当銘柄には低PBR銘柄も多く、29日までの配当取りの動きも予想されるからだ。その代表選手は「銀行株」だ。ただし、あくまでも世界の信用不安が落ち着くことが前提になる。
ちなみに、4月27~28日に予定される植田新体制下で最初の日銀金融政策決定会合では政策変更なしの可能性が高く、いったん金融株は売られる可能性がある。ただし、株主からの圧力がかかる6月の株主総会前や、夏から秋以降にかけて、日銀の金融政策変更(イールドカーブコントロール改革など)期待が高まれば、再度注目されるとみている。
また、年初からコロナの政策転換で上昇してきた中国関連(景気敏感)株はどうなるだろうか。中国の習近平国家主席がロシアを訪問、21日には中ロ首脳会談を開催した。中国はロシアとウクライナに独自の「和平案」を公表しており、これらを協議したようだ。停戦の実現可能性が高まれば世界景気の上方修正期待につながるため、注視したい。
折しも岸田文雄首相がほぼ同じタイミングでウクライナを訪問したが、もしロシア・ウクライナの停戦合意が実現しない場合は、インフレ高止まりのなか、利上げを続ける欧米の景気鈍化懸念が高まって、2023年度の企業業績の伸びも鈍化するだろう。そうなれば、3月を当面の反発のピークに4月以降、日経平均株価は下値を切り下げる「緩やかな下降トレンド」に入りそうだ。
(本記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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