西ヶ谷: 医薬は1970年代から、多分何百件、何千件とそういう前例があるので、コンサルティング会社が把握していて、こういう場合は大体いくらになるという相場があるんです。
ところが農薬は相場がないので、どこまでやったら幾らになるかという評価が難しく、投資が進みません。
ピクサーのビジネスモデルも”模倣”
井上:お話を伺っていると、医薬の先進的な仕組みをいかにして農薬の世界に持ち込むかがカギですね。私は「模倣の経営学」という言い方をしていて、先進的な異業種からビジネスモデルを模倣しよう、と言っています。そういった発想もお持ちでしょうか。
西ヶ谷:異業種といえば、ピクサーのビジネスモデルも参考にしています。
彼らは一つの映画作りをパイプラインと呼び、ディレクターとプロデューサーをつけ、権限を与えて独立採算で走らせている。映画ごとに外部から資本も入れ、何年後かに投資を回収する仕組みです。
興業収入を出資者と分けあい、グッズを作る権限を与えるというのは、まさしく医薬や農薬と同じです。このやり方は、とても参考になる。製薬会社のパイプラインや創薬プロジェクトの担当者についての本はほとんどありませんが、映画については、結構いろいろな本が出ているのでチェックしています。
井上:なるほど、ハイリスク、ハイリターンのビジネス、知財のビジネスには共通点があるわけですね。とても面白いです。今後の展開を楽しみにしています。
経営学者・井上達彦の眼
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