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農薬は必要、だから医薬をまねて安全性を高める アグロデザイン・スタジオはとことん模倣する

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  • 井上 達彦 早稲田大学商学学術院教授
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西ヶ谷:ええ、毒性というのは怖いんです。そして経営的にも致命的なんですよ。

「グリホサート(※製品名:ラウンドアップ)」という世界で一番売れている除草剤があって、ジェネリックも含めると売り上げは7000億円以上と言われています。ところが、それを使っていた農家の方が「自分ががんになったのはその農薬のせいだ」と製造元のバイエル社を訴えたんです。

300億円の賠償命令が下ると、上級審では原告団が1万人に膨れ上がり、1兆2000億円をバイエルが支払うことで和解しました。数十年分の利益が吹っ飛ぶ金額です。バイエルの時価総額は8兆円くらいだったのですが、敗訴のニュースが出た途端に2兆円くらい下がりました。

実は、毒性については懐疑的なデータも多く、明確な発がん性はいまだに確認されていません。でも、毒性がありうるという風評はものすごいリスクなんです。「分子標的法」は、安全性のエビデンスを明確に示せる点で優れています。

井上:なるほど。ESG投資の発想でいえば、効率に勝る「ぶっかけ法」よりも安全に勝る「分子標的法」に魅力を感じます。

画一性を排すれば食料安全保障につながる

西ヶ谷:そうなんです。分子標的法は、初期のコストはかかりますが、将来的な何十年のリスクを見ると大したものではないかもしれない。この意味で「ラウンドアップ」の事件は、これまでのあり方を見直す一つのきっかけになっています。

もう一つ重要なのは、農薬業界のビッグ4と呼ばれる4社(注)は種苗といわれる種や苗も扱っていて、農薬とセット販売している点です。世界中どこでも同じ品種の作物が植えられているので、ひとたび病気がまん延すると全部枯れてしまったりして危ないんです。食の安全保障としても、いろいろなタイプの農薬を作っておくことは重要だと思います。

(注)スイスのシンジェンタ、ドイツのBASFとバイエル、アメリカのコルテバ
 

井上:そもそも西ヶ谷さんが、「分子標的法」に目をつけたのはなぜでしょうか。

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