「情報を集めても行動しない人」に欠けている視点 「分析好き」はいいけど「やってる感」だけでは…

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「情報が何を消費するかは明確だ。受け手側の注意力を消費するのだ。よって豊かな情報は注意力の欠落を引き起こす……」

マイクロソフト社の研究では、アメリカの平均的な社員は、行方不明のメモやアイテム、ファイル探しに年間76時間を費やしています。

また、インターナショナルデーターコーポレイションのレポートでは、典型的な知的労働者(ナレッジ・ワーカー)は、1日の労働時間のうち26パーセントを、さまざまなシステムに分散された情報を探して一元化するのに使っているというのです。

しかも、彼らが仕事に必要な情報を見つけられる確率は、たったの56パーセントでしかありません。つまり、週に5日出社しても、そのうち1日以上を必要な情報を探すためだけに費やして、しかも2回に1回は情報を見つけることすらできないということです。

「いる/いらない」を直感で決めてしまう

SNS、ウェブサイト、動画、本、ポッドキャスト……と、アクセスできる情報が増え、われわれはとうてい消化しきれない量の知識を日々摂取しています。ひらめいたり、出会ったりした素晴らしいアイデアのうち、実行に移す機会もなく忘れてしまうものがどれほどあるでしょう?

スマホやコンピューターを起動するたび、コンテンツがあふれ出し、たちまち情報の渦にのみ込まれる――。確かに、その多くは有益で興味深い情報でしょう。

それらの情報はつながることなく散らばったままではないでしょうか。さらには「やみくも」に情報収集していないでしょうか。

情報の激流から少し離れ、観察者の視点で、脳内をどの情報で満たしたいか、意識的に決め、本当に注目すべきアイデアや知識のみを集めるべきです。

好奇心旺盛で学ぶことが好きな人は、「情報をどんどん集めるばかりで、次のステップへ進んでそれを実践することがない」という落とし穴にはまりやすいのです。

調査結果をごまんと集めながら、自分は提案ひとつしない……。

ビジネスの事例集を大量に収集しながら、潜在的なクライアントに売り込みひとつかけない……。

ありとあらゆる人づきあいのアドバイスを学んだのに、誰ひとり食事へ誘ったことがない……。

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