関西私鉄「車両カラー」、あなたの好みはどれ? ラッピングでもあっと驚くデザインが続々登場
塗装へのこだわりでは、近鉄も忘れてはならない。2020年に登場した新型名阪特急「ひのとり」では、同車を象徴するメタリックレッド「ひのとりレッド」をメインカラーとした。
赤ワインのような深みのある色合いで、見る角度によって色調に変化が生じる点がじつに興味深い。また、ロゴマークやアクセントラインは「プレミアムゴールド」とし、気品ある雰囲気となっている。
いっぽう、2022年4月に登場した観光特急「あをによし」は、日本の鉄道車両では珍しく紫色がメインカラーだ。
紫色は「冠位十二階」の最高位を表すなど、日本では高貴な色とされてきたこともあり、高級感を演出するためにこの色を採用したという。側面には正倉院の宝物をイメージしたラッピングがなされ、まさしく「走る正倉院」といった趣だ。
登場から25年以上が経過してもまったく色あせないのが、南海の関西空港アクセス特急「ラピート」だろう。独特の外観もさることながら、深みのあるブルーは現在でも強烈なインパクトを与える。「ラピートブルー」と呼ばれるブルーは、関西空港をとりまく空と海を表すという。
「ラピート」をデザインした若林広幸氏は、同車の塗装の決定にあたり、南海にタスマニアンブラウン、南海のイメージカラーであったグリーン、そしてブルーの3色を提案した。南海は即座にブルーで決めたとされる。近年はラッピングが施されることも多い「ラピート」だが、やはりブルーがもっとも似合うように思える。
京阪は「緑色」の電車
京阪は2008年から、3種類の塗装を器用に使い分けている。特急用車両8000系は赤色・黄色の組み合わせをベースに金色の帯が入る。昭和から続く京阪特急色の伝統を受け継ぎつつ、グレードアップしたかたちだ。
ロングシートの一般車両は濃緑色・白色の組み合わせを基本とし、黄緑色の帯が入る。こちらも「緑色の電車」という伝統を受け継ぎつつ、白色を混ぜることで現代的な感覚をプラスした。
いっぽう、中之島線開業時にデビューした3000系は紺色・白色をベースに銀色の帯が入り、従来の京阪電車のイメージとは大きく異なっている。紺色は淀川水系の流れをイメージすると同時に、京のれんや紺袴も表している。銀色の帯と白色は、都会のときめきと石庭の川の流れを表す。
さて、関西大手私鉄において、あなたがもっとも好きな塗装はどれだろうか。好みの塗装を探しながら鉄道旅行をするのも面白いだろう。
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