「認知症予備軍」が一発でわかる6つの重要サイン 「味つけ変わった」「小銭を出すの面倒」は注意

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お札で支払うと、お釣りを小銭でもらうことになるため、財布がいつの間にか小銭でいっぱいになります。財布が小銭ではち切れそうになっていたら、認知機能の低下が疑われます。病院の会計でも、小銭も使ってきちんと支払いができていた人が、お札だけで支払うようになると「認知症、要注意」だと言われています。

海外に行ったとき、お釣りでもらったコインを支払い時には使えず、どんどん財布にたまってしまったという経験がないでしょうか。認知症の人も、これと同じように、小銭の金額とその価値がパッとわからず、さらに計算が素早くできないために、お札で支払うことを選んでしまうのです。

ちなみに、キャッシュレスによる支払いも増えていますが、いちいち計算せずに支払えるのは便利である一方、脳を使わないので認知症予防にとってはあまり良いことではありません。また、高齢者がキャッシュレス社会についていけるのかも心配です。

「失っていく」状態にある人への理解が必要

⑥ 興味や喜びを感じる機会が減ってしまった

前述したように、現在の高齢者の中には、仕事人間だった人が多くいます。そんな仕事人間だった人には、これといった趣味も、やりたいこともありません。定年後に新たな趣味をもとうと何かを始めても、なかなか長続きしないということもあります。

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定年延長で働き続ける人もいますが、役職はなくなり、これまで部下だった若い人の下で働かなければならなくなります。しかも、給料は激減。ストレスは逆に増えます。高齢者になると、家族や友人、知人を亡くすことも増えます。これは、会話をする相手が減っていくということです。高齢になると、歳を重ねるごとに、いろいろなものを失っていくばかりです。これまでできたことが、できなくなることも多々あります。

MCIの人たちと話していると、「情けない」と嘆かれることが多々あります。当たり前にできたことができなくなった自分が情けないという思いが強くあるのでしょう。現在、高齢者が置かれている環境を、もう少し理解してあげてもいいのではないでしょうか。毎日の生活の中で、生きがいを見つけるのは、かんたんなことではないのです。

浦上 克哉 日本認知症予防学会理事長・鳥取大学医学部 認知症予防学講座教授

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うらがみ かつや / Katsuya Uragami

日本認知症予防学会代表理事。鳥取大学医学部教授。1983年に鳥取大学医学部医学科を卒業。同大大学院の博士課程を修了し、1989年より同大の脳神経内科にて勤務。2001年4月に同大保健学科生体制御学講座環境保健学分野の教授に就任。2022年4月より鳥取大学医学部認知症予防学講座教授に就任。2011年に日本認知症予防学会を設立し、初代理事長に就任し現在に至る。日本老年精神医学会理事、日本老年学会理事、日本認知症予防学会専門医。『科学的に正しい認知症予防講義』(翔泳社)など著書多数。

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