ChatGPT登場で09年以来ネット検索巡る熱い戦争 巨人Googleにマイクロソフトという巨人が挑む
米新興企業オープンAIが手掛けるチャットボット「ChatGPT(チャットGPT)」の登場をきっかけに、2009年以後見られなかったインターネットの検索を巡る熱い戦争が始まった。
米アルファベット傘下のグーグルは6日、人工知能(AI)を搭載した新たなチャットボット「Bard(バード)」を公開。いずれはグーグルの検索に組み入れるという。その翌日、米マイクロソフトはオープンAIの最新技術を搭載した自社の検索エンジン「Bing(ビング)」とブラウザー「エッジ」の新バージョンを披露した。グーグルは8日、パリで記者会見を開き、AIを検索に統合する同社の取り組みについて詳しく説明した。
何が起きているのか。ジョージア工科大学のマーク・リードル教授は「チャットGPTとマクロソフトのビングに関する発表がグーグル検索のビジネスモデルを脅かしているというのが一般的な見方だ」と話した。
マイクロソフトはオープンAIに100億ドル(約1兆3100億円)を投資する。13年前のビング投入後、検索でグーグルに挑むマイクロソフトの最も深い資金面でのコミットメントとなる。同社のサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)はブルームバーグとの7日のインタビューで、「新しいレースの初日」だと述べた。
グーグルの検索責任者プラバカール・ラガバン氏は8日、バードと検索エンジン統合を同社「最大のムーンショット」と呼んだ。パリでのイベントは人々の注目をビングから奪ったが、何か準備不足だった。グーグルにはまだバードについてやるべき多くのことがある。迫力に欠けたプレゼンテーションの後、アルファベットの株価は約3カ月ぶりの下落率となった。
全てのチャットボットは偏った回答を出す傾向があるが、オープンAIの対応はそれを強く抑制することだった。サンタクララ大学でAIを研究しているマックス・クレミンスキ氏は、オープンAIは明らかに不快な言葉やフレーズを排除し、チャットGPTを「特定の種類の質問にしか答えられず、特定の種類のことしか話せない、非常に限定されたキャラクターとしてロールプレイさせている」と述べた。
グーグルのチャットボットはまだ一般ユーザーの検証を受けていないが、欠点があることは否めない。同氏は「グーグルがバードを巡るこれらの問題を回避する明確な方法を私は知らない。以前のアプローチに比べてリスクのレベルが高くなることを、グーグルが恐らく受け入れつつあると言っていいだろう」と語った。
こうした中で生じる可能性が高いのが信頼性の問題だ。何十年もの間、人々は検索エンジンに信頼を寄せてきた。検索ページにチャットボットを貼り付けることは、直接的に「権威」のある位置に置くことになるとクレミンスキ氏は指摘。「バードが一貫して真実を伝えるわけではないことを理解せずにアドバイスを求め始めれば、ユーザーは多くの自信ありげな間違ったアドバイスに基づき行動する公算が大きい」という。特に医学や法律に絡む検索で大きな問題となる。
ワシントン大学のエミリー・ベンダー教授(数理言語学)は、「明るく一見よどみなく話す」AIインターフェースを検索と統合することは「重要な問題に対処することにはならず」、代わりに核心からさらに遠ざかり正しい検索を困難にするとみている。大手テクノロジー各社が重視すべきは、ユーザーを最も安全で効果的なプロダクツの使い方に導くことというのが同教授の意見だ。
原題:ChatGPT Reignites the Search Wars Between Google and Microsoft (3)(抜粋)
--取材協力:.
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著者:Davey Alba
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