「課長どまりと幹部になる人」運と実力の作用の差 「絵に描いたようなエリート街道」は極めてまれ
次に、②消去法的に押し上げられるルート。エリートコースを歩んできたわけでもなく、目立った実績を上げたわけでもないのに、なんとなく経営幹部に昇進する人です。
「当社でも、消去法的に経営幹部になる人が一定数います。能力が高く、実績を上げた人が上がっていくの本来の姿でしょうが、やはり大きな組織ではポジションに対して適切な人材がいないというケースがどうしても出てきます」(電機・人事部長)
なんでこの人が…と言われないように
では、消去法の作業はどのように行われるのでしょうか。消去法で心配なのは、不適切な人を選んでしまって、従業員から「え、なんでこの人が」という疑念・不満が出ることです。
「従業員が昇進人事に納得するかどうかは、気にしています。仕事で大きなミスを犯していないこと、敵がいないことが、大前提になります。とくに、他部門から嫌われている人は、かなり実績を上げていても昇進させるのを躊躇してしまいます」(商社・人事部門責任者)
ただ、大きなミスをせず、敵がいないという中間管理職はたくさんいるはず。その中から経営幹部に選ばれる決め手は何でしょうか。
「単にミスがないというだけでなく、しっかりリスク管理をしたうえでミスがないというマネジャーは、安定感という点で評価できます」(金融・人事部門マネジャー)
「最終的には好き嫌い、昇進を決める経営陣の受けが良いかどうかがポイントです。といってもゴマすりではなく、気の利いた仕事をできるかどうか。会社が置かれた状況をしっかり把握し、経営陣が求めることをそつなくこなしてくれる人は、『まあ任せてもいいかな』となります」(素材・経営者)
なお、「はっきり言ってこのタイプは必要悪。あくまで次の有望な人材が出てくるまでのつなぎです」(IT・経営者)という意見がありました。経営者・人事部門関係者は、このタイプに経営改革を主導するような大きな役割を期待していないようです。
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