「台湾に一番近い島」で今起きている驚くべき事態 ミサイル配備なのに、住民避難先は「公民館」

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与那国島にミサイル部隊などの配備計画が伝達されたのは、1月10日のことだ。説明に訪れたのは、沖縄防衛局の小野功雄局長らだ。

これに対応したのは糸数健一町長と町議8人で、そのうちの1人によれば、町側からはミサイル部隊の配備に懸念の声が相次ぎ、住民に説明する機会を設けるよう求める声も上がったという。

数健一町長
与那国町の糸数健一町長(写真:筆者撮影)

「反撃能力は相手国領土にあるミサイル基地を叩くためのものですよね? だとすれば、同盟関係にあるアメリカ軍が標的にするものと同じになります。台湾をめぐって中国とアメリカが軍事衝突した場合、日本もそのお先棒を担ぐことになれば、中国側は当然、日本にあるミサイル基地、つまり与那国島も攻撃の対象にしますよね?」(ある町議)

沖縄県石垣市が所管する尖閣諸島も、「台湾の一部」と見なしてきた中国である。台湾統一に動けば、尖閣諸島も侵攻の対象に含み、その近くに位置する与那国島の自衛隊基地を叩くことは容易に想像できる。

与那国島で主力産業である漁業を営み、与那国町漁業協同組合の組合長を務めてきた町議会議員、嵩西(たけにし)茂則氏に話を聞いた。

「新たに基地が設けられる場所は、今の自衛隊駐屯地の近くの私有地なんです。そうなると町側は手が出せません。まず、沖縄防衛局と糸数町長には住民説明会を開いてもらいたいと思います。町民の意見は真っ二つに割れてますよ。賛否を問う住民投票を実施したところで、有権者の15%が自衛隊員ですから止められません。反対しても意味がない気がします」

地域振興を名目に自衛隊を誘致

歴史をひもとけば、与那国島に自衛隊基地誘致の話が浮上したのは、2005年の町長選挙で保守系の外間守吉(ほかま・しゅきち)が当選して以降である。

その背景には、1978年以降、中国が当時の最高指導者、鄧小平によって進められた改革開放路線によって経済成長し、資源の確保が急務となり、海洋進出に活路を見出そうとしたことがある。

資源を海洋に求めた中国は、1994年にフィリピンの海域であるミスチーフ礁に建造物を設けて占拠。翌年の1995年には台湾をミサイル発射で威嚇し、アメリカとの間で緊張が高まる事態も引き起こしている。

こうした動きを受け、与那国島では与那国防衛協会を設置し、2008年9月の町議会で自衛隊基地の誘致を次のように決議した。

過疎化が進み、国や県から見放される前に、私たち町民は心を1つにして、諸課題を早期に一挙に解決する必要がある。周辺に忍び寄る国際紛争にも国家の防衛力で身を守りながら国家予算を獲得する方策は、自衛隊誘致しかない(筆者要約)
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