JR西「大雪で車内閉じ込め」、なぜ防げなかったか 計画運休の判断は?危機回避できた4つの節目

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23時すぎから乗客を列車から降ろし始めた。特急サンダーバードは乗客数も300人程度と少なく、山科駅構内に停車していたので移動はスムーズに終えた。しかし、1400人が乗車していた普通列車の降車作業は時間を要した。線路脇の道は幅が狭く、1人ずつしか歩けない。高架から地上に降りる階段は作業用のもので、足を滑らせないように慎重に降りる必要がある。一方で、歩くのが不安だという理由で車内に残ることを希望した乗客もいた。こうした人も含めて最終的にすべての乗客の降車が完了したのは25日の朝5時半だった。

この列車では、最後の人は10時間近く車内にいたことになる。けが人こそ出なかったが、18本の列車を合わせると体調不良により乗客16人が救急搬送された。復旧作業が完了したのは25日の10時18分だった。

どうすれば防げたか?

このように考えると、今回の長時間閉じ込めトラブルを避けることができる4つのチャンスがあった。

まず、24日始発前の点火作業。ただ、予想降雪量が社内規定を下回っていたのでは、作業を行う判断は難しい。

2点目は、当該列車が駅間に停車してから降車するまでに長時間を要したことだ。しかし、ほかの列車が分岐器不具合を解消し、列車を最寄り駅に移動させて乗客をホームに降ろしたことを考えると、この列車は乗客数が多いだけに分岐器の不具合解消に期待をつなぐという判断も仕方がないだろう。

3点目は、降車開始から終了までに長時間を要したことだ。安全を最優先した結果とはいえ、日頃の訓練などを重ねることで短時間で終える工夫ができなかったのかとも思える。

そして、4点目はそもそもこの日の東海道本線を計画運休すべきだったかどうか。これも難しい判断だ。

安全の確保こそ最大の使命という考え方に立てば、確かに乗客が負傷するような事態にはならなかった。しかし、長時間の閉じ込めで多くの乗客がストレスを感じ、体調不良で救急搬送された乗客も出たことを踏まえれば、今回のような事態は防がなくてはならない。

長谷川社長は、「結果責任は自分にある」と言い、関係部署が検証作業を行うことで再発防止につなげる考えだ。複合的な事象が重なっているだけに解決策を見いだすのは容易ではないが、安全な運行のためにはいっそうの努力が欠かせない。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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