JR西「大雪で車内閉じ込め」、なぜ防げなかったか 計画運休の判断は?危機回避できた4つの節目

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大雪対策の1つとして、JR西日本は次のような社内基準を定めている。降雪が10cmを上回ると見込まれる場合は、分岐器に設置している装置を点火して雪を熱で溶かすというものだ。降雪量が増えると分岐器が支障をきたす。分岐器とは線路を分岐させ、列車の進行方向を決める機器。大量の雪が分岐箇所にたまると転換ができなくなる。不具合が生じると信号が青にならず、列車は進行できない。

JR西日本長谷川一明社長・謝罪
1月26日に都内で開いた記者会見で陳謝するJR西日本の長谷川一明社長(記者撮影)

北陸など雪が多い地域の分岐器は電気で融雪する機能を備えている。一方、京阪神ではそこまで雪が多くないことから、作業員が分岐器の設置場所に行き点火して、灯油を燃やして融雪する。後者の場合は、列車が行き交う中では点火できない。そのため京阪神地区では通常、始発列車の出発前にこの作業をする。しかし、JR西日本が契約している気象予報会社は積雪予想を8cmとしており10cmに満たなかっため、24日早朝に点火は行われなかった。

18本・7000人が駅間で足止め

この日は強風のため各地で架線に支障物がひっかかるなどのトラブルが相次ぎ、ダイヤはかなり乱れていた。そんな中、16時半、日本気象協会は「京阪神を中心に積雪が多くなる恐れがあります。交通機関への影響に注意が必要」と予報を出した。しかし、ダイヤ乱れに加え、これから帰宅ラッシュが始まるという時間帯である。列車を止めて点火作業を行うという決断はできなかった。

もっとも、この時点で点火作業をしても間に合わなかったかもしれない。京都市内では局所的に降雪量が増え、今回の列車トラブルが起きた場所では積雪量が15cmに達した。

19時00分、京都駅から大阪駅方面におよそ6km離れた向日町駅構内で雪のため分岐器が転換不能になり、西大路―向日町間を走行中の特急「サンダーバード」と新快速2本、計3本の列車が駅間で停車した。その後、京都駅構内、さらに京都駅から草津方面におよそ5km離れた山科駅構内など京都近辺の複数箇所で一気に分岐器の転換ができなくなり、19時40分から50分にかけて10本の列車が駅間停車した。

分岐器トラブルによる駅間停車は山科―高槻間で15本、ほかの区間も含めると18本。これらの列車に乗り合わせた乗客は合計で約7200人に達した。

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