IBMは、どうしてiPhoneを選んだのか アップル×IBMの提携で始まったこととは?

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しかし、それならば情報閲覧できる場所とアクセス可能な端末を拡張するだけに過ぎない。「本当にスマートフォンを活用するならば、社員全員がスマートフォンやタブレットを使いこなす中で多様な情報を収集し、それを分析した上でノウハウとしてフィードバックする”アナリティクス”まで持ち込むのが、我々の役割だ」(藤森氏)。

ご存知の通り、現在のIBMは情報アナリティクスのソリューションを強みとして、世界中の大企業とのパートナーシップから新しい価値創造を続けている。そこでスマートフォンが担う役割は「すべての人が、すすんで使いたくなる。そんなユーザーインターフェイスで日常の業務をこなせるようにすることで、アナリティクスの元となる情報を充実させ、鮮度も高く保つことができる」(藤森氏)ことだ。

IBM単独では生み出せない価値

単純なことだが、たとえばスマートフォンのGPS活用や地図連動といった機能は、スマートフォンに必ずロケーション検出機能が備わっているからこそできることだ。スマートフォンという、肌身離さず持ち歩いていないと仕事に支障をきたすデバイスの活用方法、ソリューション構築のアイディアは、”スマートフォン”というカテゴリ市場を創出したアップルならではのものがあり、IBM単独では生み出せなかっただろうと藤森氏は話した。

より良いユーザーとの接点をアップルが作れるならば、その先の分析には一日の長があるというのがIBMの考えだ。コグニティブコンピューティングプラットフォーム「Watson」に代表されるように、IBMのアナリティクスソリューションはすでに評価が得られている。そのIBMの強みをアップルとの協業で拡張しようというわけだ。

いくつか事例を紹介しよう。「Sales Assistance」というアプリは、米国の百貨店をローンチカスタマーにした販売支援アプリだ。このアプリではBluetoothを活用したiBeaconという仕組みを利用し、顧客に対してより良い接客を提供できる。

たとえば、お店でブルーレイレコーダを買いに行くと、気の利いた店員ならば「HDMIケーブルに不足はありませんか?」と顧客に尋ねるだろう。あるいはもう一歩踏み込んで「電源コンセントに不足はありませんか?」と電源タップも勧めるかもしれない。

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