変動金利が上がった場合に備える住宅ローン戦略 月々返済で払いきれない「未払利息」が膨張も

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一方で変動金利は、今回の金融施策では直接的な影響はないとみられています。住宅ローンの変動金利は、金融機関が企業に対して1年以内の融資を行う際の貸出金利、短期プライムレートを基準に決められています。

大手金融機関の変動金利の店頭金利はこの10年以上、1.475%の短期プライムレートに1%を加えた2.475%が続いています。借り入れる際にはここに各銀行が優遇金利による金利引き下げを適用しますが、近年は引き下げ競争が激化しています。

12月現在、メガバンク中2行は2%引き下げて適用利率を0.475%としており、ネット銀行などでは0.3%台も目立ちます。住宅価格の高騰でどんどん上がった住宅購入のハードルを下げ、ローン利用者を囲い込もうと大幅な金利優遇を打ち出す金融機関間の競争により、借入時に適用される金利は以前から低下傾向が続いていました。この優位性が好感され、最近は大半の人が変動金利で借りています。直近の住宅金融支援機構の調査では、変動金利利用者が住宅ローン利用者の74%を占めるほどです。今回の金融政策は、この流れを上昇に転じさせる強力な材料にはならないとみられます。

仮に変動金利が上がったら?

ただし今後も変動金利が上がらない保証はありません。ひとたび日銀がマイナス金利を終了して短期金利が上がれば、住宅ローンの変動金利も上昇します。ほとんどの人は20年や35年など長期間にわたって返済しますから、その間に金利動向が変わるリスクを織り込んでおかねばなりません。

5000万円を35年返済、元利均等返済(ボーナス払いなし)で借り入れたとき、金利が現在の水準である年0.475%なら、月々の返済額は12.9万円です。これが0.25%上がって年0.725%になれば、月々13.5万円になります。そして利息の負担額は約235万円も増えてしまいます。返済期間の途中での金利上昇ならここまでの負担増にはなりませんが、少々の金利アップでも利息の負担額が100万円規模で増えるリスクは十分に意識しておく必要があります。

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