人気職種コンサルタントが顧客社員に嫌われる訳 「経営者には好かれる」という捻れが生む溝

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大手ファームのコンサルタントはMBA、独立開業しているコンサルタントは中小企業診断士・税理士などの学位・資格を持っています。したがって、コンサルタントは、そういう勉強をしていないクライアントの社員よりも経営に関する知識が豊富です。

ただ、経営知識は、ネットで検索すれば誰でも入手できます。企業経営で知識よりも重要なのは、どういう場面でどういう知識をどのように使うかという「知恵」です。知恵のないコンサルタントが横文字の知識をひけらかして「俺たちは優秀だ」とアピールすると、社員は毛嫌いします。

もう1つは、自分はクライアントよりも高度な仕事をしているという勘違いです。

IT系の案件で、コンサルタントは戦略立案を「上流工程」、システム構築を「下流工程」と呼びます。自分たちがやっている「上流工程」は高度な業務、ITベンダーが担当する「下流工程」は簡単な業務、システムを使うクライアントは「下流未満」で、「単純作業ご苦労さん」と考えているケースがあります。

しかし、経営で難しいのは、意思決定と実行です。コンサルタントがどんなに画期的な戦略を提案しても、それをやるかどうか意思決定するのは経営者、実行して成果を実現するのは社員です。提案を高度な業務だと勘違いしているコンサルタントは、経営の難しさをわかっている人からすると、何ともイタい存在です。

このように、「私は皆さんよりもはるかに優秀で、皆さんと違って高度な仕事をしています」という勘違いが、社員からの反発を買っているのです。

コンサルタントの貢献は極めて限定的

もちろん、社員から毛虫のように嫌われても、コンサルタントの手腕によってクライアントが発展すればいいではないか、という見解があります。ではコンサルタントは、実際にクライアントの発展に貢献できているのでしょうか。

ボストンコンサルティングの堀紘一元社長は、自著『コンサルティングとは何か』などで「私のアドバイスをちゃんと受け入れたユニチャームは発展した。私のアドバイスを拒否したダイエーやJALは破綻した」と書いています。

公に口にしないまでも、多くのコンサルタントが、「俺はあのクライアントを倒産の危機から救った」といった武勇伝を語っています。また、研修・セミナー業務について、「俺は企業の人材育成に貢献している」と考えます。公的支援では、「中小企業の発展、ひいては地域社会の発展に貢献している」と自負しています。

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