最後の国鉄急行形気動車「キハ28」引退までの軌跡 登場から約60年、いすみ鉄道では2013年導入

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キハ58系ではディーゼルエンジンを搭載することで、幹線からローカル線まで幅広く使用できた。また、1両単位で自走できる構造で、2両編成の短い列車にできた一方、幹線では長い列車とすることも可能だった。これを利用して、1つの列車を途中で切り離し、複数の行先を組み合わせた列車も運転された。きめ細かい使い方ができたことが、急行形気動車の強みとなる。

キハ58系は気動車で運行された急行列車の主役として活躍したが、時代が進むと幹線では電化が進んで電車が主体となり、さらに新幹線が開業して都市間輸送は特急が主力となる。その一方で、道路の整備によって自動車への移行も進み、ローカル線で急行列車を運転する意味を失っている。こうした事情により、キハ58系の役割は急行列車からローカル線の地域輸送へと変わっている。

JR各社で活躍

JR発足後はJR北海道をのぞく旅客5社に継承されたが、継承された時点での活躍の場は普通列車や快速列車ばかりだった。キハ58系を使用した最後の急行列車は2007年に廃止されたJR西日本の芸備線の急行「みよし」(広島―三次間ほか)で、普通列車としてキハ58系が最後まで定期運行で使用されたのは、JR西日本の高山本線だった。高山本線の定期運行は2011年に終了、いすみ鉄道で引退するキハ28 2346も最後まで使用されていた。

2009年に引退した新潟地区のキハ58系(筆者撮影)

ちなみに、JR東日本では急行「よねしろ」(秋田―鹿角花輪間:大館―鹿角花輪間は普通列車)を最後として2002年に急行列車での運行を終了、普通列車では米坂線や信越本線の新潟方など、新潟地区での運行を最後として2009年に定期運行を終了した。JRに所属した車両として最後まで残ったのはJR東日本のキハ58系で、訓練用として残されたものだったが、これは2020年に廃車されている。

JR東海ではJR西日本乗り入れの急行「かすが」(名古屋―奈良間)・「たかやま」(大阪―高山間)を最後として1999年に急行列車での運転を終了、普通列車では紀勢本線での運転を最後として2001年頃に引退している。

JR四国では徳島線の急行「よしの川」(徳島―阿波池田間)を最後に1999年に急行列車の運転を終了、普通列車では予讃線の松山地区や土讃線の高知地区での活躍を最後として2008年に定期運行を終了した。

JR九州では肥薩線の急行「くまがわ」(熊本―人吉間)を最後として2004年に急行列車の運転を終了、普通列車では吉都線・肥薩線の鹿児島方・日豊本線の宮崎・鹿児島地区での活躍を最後として2007年に定期運行を終了している。

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