「NISA恒久化」暗雲、非課税期間の延長は無理筋か 「口座開設期間」延長でお茶を濁す案も浮上
そこで政府は、金融機関との繋がりの少ないFP資格者を「中立アドバイザー」(仮称)と見なし、投資助言業の登録ハードルを引き下げる新たな別枠を設ける方向性を提示。全国の金融セミナーなどに派遣し、全国津々浦々で「貯蓄から投資へ」を推進する実働部隊として活用する案を金融庁に持ちかけた。
関係者によると、提案を受けた当局内では各種FP資格のうち、日本FP協会が認定するCFP資格取得者などに限定し、投資助言業の新枠を設ける方向で議論を進めている。この新枠で登録を受けた助言業者は、「つみたてNISA」の対象商品に限って具体論に踏み込んだアドバイスを提供できるようになる見込みだ。
「2000万円問題」のトラウマも
ところがこの案、庁内からは不安も漏れ聞こえる。「既存の金融機関から本当に独立しているかどうか、どのように判断するかの基準について曖昧なまま制度整備を急げば、手数料目当ての不適切なアドバイスが横行しかねない」(中堅幹部)というのだ。
また、そもそも老後の資産形成に向けた国の施策は金融庁が所管するNISAと厚生労働省のiDeCoの2本柱で成り立っている。FPに家計の総合的なアドバイザーとしての役割を期待するのであれば、つみたてNISAだけでなくiDeCoの商品も言及できるように制度整備するのが筋だろう。しかし年末のプラン策定に向けて厚労省と調整を行う時間は残されていない。
さらに「金融審議会の作業部会で厚労省が持ち込んだ資料で大炎上した『老後2000万円不足問題』のトラウマがあり、お互いに連絡を取りづらくなっている」(職員)という事情もある。
財源も課題だ。高い手数料を取りやすい富裕層相手ではなく、中間層へのアドバイスを目的としてFPを派遣するには、その資金をどこから持ってくるかが問題となる。政府がFP権限拡大とあわせて検討している金融教育専門の常設機関新設を含め、国民の資産形成のために巨額の税金が費やされることになれば反発も予想される。
官邸や金融業界の目先の利害のためではなく、国民の十年先、二十年先の生活を安定させるための有効な現実解を見つけられるかどうか、政策当局としての金融庁の力量が試される局面だ。
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