販売低迷の真実、トヨタ「アクア」発売1年通信簿 上級車種のような上質さのアピールが課題か?

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バイポーラ型ニッケル水素電池
アクアで初採用されたバイポーラ型ニッケル水素バッテリー(写真:トヨタ自動車)

アクアのハイブリッドシステムは、バイポーラ型ニッケル水素バッテリーを初採用することで、e-POWERのようなモーター走行領域を増やしてはいるが、その新たな価値を言葉で伝える術を持っていない。時速40kmまでe-POWERのシリーズ式ハイブリッドのような走行感覚や静粛性を備えながら、その新しさに名称がないことも、消費者に新型アクアが前型と大きく乗り味を変えていることを伝えきれていないのではないか。

快感ペダル
ワンペダル操作を実現した「快感ペダル」とモードによる違い(写真:トヨタ自動車)

試乗をして印象深いのは、まさに市街地などでの時速40km前後の走行であり、トヨタのHVに別の感覚をもたらし、高まった静粛性が外観や内装の上質さだけでなく、乗り味においても上級車種を思わせる。簡単に表現すれば、5ナンバーの小さな高級車という持ち味を新型アクアは手に入れているのである。

先進性のアピールが今後の課題か?

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新車の買い方は、インターネットなどで情報を集め、そのうえで確認のため試乗をして成約に至るという流れになっているなかで、情報収集の段階で新たな機能や魅力を確認できる言葉があることが重要性を増している。新型アクアを所有することが、単に5ナンバーのHVを買う以上に、時代に適合した上質さをもたらすことを、機能の名称や言葉で伝えることが、販売をさらに勢いづかせるのではないかと思う。

新型アクアの販売台数は、決して少ないとは思わない。それでも、販売好調という印象が持たれにくい背景にあるのは、上質さを求めた車体色の目立ちにくさや、機能を魅力的に伝える名称や言葉が十分でないだけのことではないか。結果、日産ノートに水をあけられた。それでも販売実績で上位であり続けるところに、新型アクアの商品性は十分に発揮されていると思う。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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