販売低迷の真実、トヨタ「アクア」発売1年通信簿 上級車種のような上質さのアピールが課題か?
そうした情勢から初代に比べ、新型アクアの販売が期待したほど勢いを感じにくいとの印象を持つ人もあるようだ。
初代アクアが誕生したのは2011年で、それまでトヨタには3ナンバーのハイブリッド車(HV)しかなく、5ナンバー車だった初代プリウス以降、5ナンバーのHVを望む消費者は8年も待ち続けたことになる。
日産ノートは2005年に初代が誕生しているが、HVのe-POWERが登場するのは2代目の途中になる2016年になってからだ。したがって5ナンバーHVの選択肢は極めて少なく、人々はアクアの魅力にとりつかれたといっていいかもしれない。
また初代アクアは、外装色の彩りが豊かで、パステル調の明るい色を選ぶ消費者が多く、公道を走るアクアがより目立った存在にもなっていた。そうしたことから実際に販売も好調だったはずだが、さらに初代アクアはよく売れたとの印象を植え付けられたといえそうだ。それに比べると、新型アクアは上質さを高めるという開発の意図もあり、車体色は、明るい色合いであっても落ち着きのある色調で、目立ちにくいこともあるだろう。
ほかにも日産のe-POWERが登場して以来、モーター駆動を主力としてあたかもEVのような走行感覚を味わえることに新鮮味や興味を覚える消費者が増えてきたこともあるのではないか。
先進的な印象を与えられなかったことが要因
また、トヨタにはトヨタ・ハイブリッド・システム(THSおよびTHSⅡ)という独自の呼称があるが、それより日産のe-POWERのほうが新しいハイブリッドという印象をもたらす。たとえばスバルが運転支援機能にアイサイトの名称を与え、アイサイトを装備したクルマは安心という印象をもたらしたように、時代の先端を行く新機能に象徴的な名称を与えることが消費者の関心を呼ぶきっかけになりつつあるようだ。
ホンダも現在では、2モーター式のハイブリッドシステムに統一するのにあわせ、同じ機構でありながら従来のi-MMDからe-HEVと名称を変更した。トヨタ自身もクラウンに搭載する新しいハイブリッドシステムをデュアルブーストと呼ぶ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら