ファミマ、ユニー「統合」で始まる大淘汰 "負け組同士"のコンビニに勝算はあるか

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規模のパワーは物流インフラなどではすぐに発揮しやすい。が、立地や商品、サービスで顧客を引き付けられなければ、競争力低下に歯止めはかからない。コンビニ各社は激しいシェア争いで出店競争を過熱させ、国内では5万以上の店舗がひしめく状態だ。セブンのみが既存店売上高でプラス成長という独り勝ちが続いている。

サークルKは関東圏に店舗が少ない(撮影:今井康一)

以前セブンと関係のあったファミマのあるオーナーは、「セブンは徹底度が違う。キャンペーン一つでも99%の店で一斉にスタートする。ファミマは7~8割程度の印象だ」と語る。今後、独走するセブンに追いつく体制を築くには、店舗の改装や協力工場への投資もあらためて必要になる。ジリ貧の現状を脱せなければ、投資回収もままならない。

ココストアも業績は厳しい

3月13日には、中部地方などを地盤とするココストア(名古屋市)の買収を含め、同社の親会社である盛田エンタプライズともファミマが協議している事実が明らかになった。ただココストアグループも業績は苦しく、ここ数年は店舗売上高、店舗数ともに縮小が続いている(2014年5月期末の店舗売上高は926億円、店舗数は約700店)。コンビニ業界関係者によると、ココストアグループから同業各社へ売却の打診があったもようだ。

このほか、2014年はローソンが同じく同業のポプラ(広島市)へ5%の出資を行うなど、業界再編へ向けた動きが加速している。両社に関しては材料調達や物流で協力するほか、さっそく閉店したポプラの一部がローソンに置き換わるなど、こちらも将来の合併へ向けた布石と見る向きもある。

「消費者のさまざまな問題を解決できる新たなコンビニ像を作る」(中山社長)と意気込むファミマ・サークルKサンクス連合。期待と不安が入り交じる中、業界再編のお手本を示せるのか。乗り越えるべきハードルは高い。

「週刊東洋経済」2015年3月21日号<16日発売>「巻頭特集」に加筆)

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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