フランスの「知の巨人」が警告する日本の安全保障 核保有の是非、米国・中国との関係をどう考えるか

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橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):中国に対するトッド氏と我々の見方は違う。人口動態だけをもとに「中国は覇権国家にならない」とは、僕は考えない。日本は人口減少を技術で乗り越えようとしている。中国もそうしようとしている。現実の問題として、中国の防衛費はどんどんどんどん増えている。

フランスからは遠いが我々からは近い南シナ海、東シナ海では、尖閣諸島でもう中国と衝突している。フランスは、NATO(北大西洋条約機構)の集団安全保障の枠組みに入っており、しかも核兵器まで持っている。憲法9条の下、米国との同盟しかない日本と、フランスの見方は違う。日本はしっかりと米国、西側との間で集団的な安全保障を強化していく必要がある。将来的に中国がどうなるかは様々な予測があるだろうが、現実の政治としてはしっかり備えなければならない。

(画像:FNNプライムオンライン)

「日本は核武装を」の提案に、木村氏「絶対にない」

松山キャスター:日本は独自の安全保障を自らの考えでもつ必要があるということか。

FNNプライムオンライン「日曜報道 THE PRIME」(運営:フジテレビ)の提供記事です

トッド氏:もちろんだ。我々は同盟国、米国の信頼性に関して様々な経験をしてきた。ご存じの通り、信頼性は非常に低い。米国は問題を解決するためにイラクに介入し、そして退去した。欧州に介入し、混乱を生んだ。彼らは実際の戦闘には参加するつもりはない。

米国から見ると、世界には、欧州、中東、東アジアという3つの重要な局面がある。今度は日本の番だ。米国の信頼性がいかばかりのものか、体験してみるといい。

私は日本が独自の安全保障政策を持つべきだと確信している。しかし、日本には人口(減少)問題がある。唯一の安全保障は、何度も言うが、核を持つことだ。核を持つことは、攻撃的な軍事政策を行うこととはまったく異なる。むしろ逆だ。新たな立場をとるということだ。核を持てば安全であり、(米国の戦争に巻き込まれず)中立的な立場をとることができる。日本がその気になれば、の話だが。

(画像:FNNプライムオンライン)

木村氏:(フランス語で)絶対にない。

トッド氏:フランスはその立場だ。

梅津キャスター:(木村氏に対し)今、何と言ったのか。

木村氏:フランス語で「それは絶対ない」と(トッド氏に)言った。

梅津キャスター:その議論はかなり慎重にすべきかと思う。

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