ユーザーに嫌われないSNS広告の新しい潮流 掲載媒体に溶け込む「インフィード広告」に支持

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つまり、広告が掲載される媒体の記事・コンテンツの「見出しと同じ見た目」を持ったもの(インフィード広告)であれば、広告枠内に「広告(もしくはPR、AD)」と表記されていて、クリックした後も「資料請求画面」や「商品購入ページ」といった見出しとは別のものにリンクするのではなく、「見出しの内容と整合した」記事・コンテンツにリンクするということです。

それでは、なぜインフィード広告が主流になったのでしょうか。その背景には、ユーザーの利用体験(CX)を妨げるさまざまな広告が横行していたことが挙げられます。たとえば、次のようなものです。

・消費者に気づかれないよう、一般的な記事や投稿を装った広告

・第三者提供されたCookieを使い、ユーザーを「追いかける」広告

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記事だと思ってクリックしたページが、よく読むと広告やプロモーションのページだったことや、訪問したサイトから別のサイトに移ったにもかかわらず、同じバナー広告が延々と表示され続けるといった経験は、おそらく誰にでもあるでしょう。

また皆さんも、どこかのサイトで入力した情報や、検索サイトで調べた内容などが広告の表示に使われているのでは?と感じたことがあるかもしれません。

今でもそのようなことは横行しています。その反動として、掲載される媒体の文脈に上手く溶け込むことができるインフィード広告に支持が集まりました。また、広告としての効果も高かったということでしょう。

広瀬 安彦 野村総合研究所 エキスパート研究員

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1972年、三重県四日市市生まれ。慶応義塾大学文学部卒、青山学院大学社会情報学研究科にて博士前期課程、北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院にて博士後期課程を修了。大手印刷会社を経て2001年に野村総合研究所に入社。専門はインターネットによる広報戦略、データサイエンティストの育成、M-GTA(Modified GroundedTheory Approach)を用いた質的研究。明星大学経営学部非常勤講師、日本生産性本部 経営アカデミー講師。「NRIデータサイエンスラボ公式YouTubeチャンネル」で情報を発信中。

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