人気歌手や子ども標的「ミャンマー軍空爆」の実態 残虐行為繰り返されても始まらない本格制裁

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10月24日、人気歌手のコンサート会場がミャンマー国軍により空爆され、歌手を含む少なくとも80人が殺害された(写真:AP/アフロ)

ミャンマーの人気歌手、オーラリ・ラーパイさんが10月23日夜、同国北部で開かれた野外コンサートで歌っている最中、3機の戦闘機が上空に現れ、コンサート会場を空爆した。目撃者によると、爆弾の1つはメインステージ近くに着弾し、オーラリさんを含む複数の出演者が曲の途中で死亡した。救助に当たった人々によると、少なくとも80人が殺害されたという。

少数民族カチン族の反政府勢力の支配地域を狙った今回の空爆は、ミャンマー国軍が昨年のクーデターで政権を奪取して以来、最悪のものとなった。これを受け、同軍事政権に対する世界的な武器禁輸措置、金融制裁の厳格化、航空燃料の輸出禁止を求める声があらためて高まっている。

オーラリさんなど出演者も死亡

「標的にされたのは敵ではなく、民間人だ」。ミャンマー北端にあるカチン州の自治を長年求めてきたカチン独立機構(KIO)の報道官、ナウ・ブー大佐は「これは邪悪な行為であり、戦争犯罪だ。私たちは同胞の死を深く悲しんでいる」と語った。

アナンパ村で開かれたコンサートはKIOの創設62周年を記念したものだった。KIOは国軍と長期にわたって闘争を続けている少数民族組織の中でも規模が大きく、活力もある。軍事クーデターが起きて以降、KIOは民主化勢力と連携しながら活動を続け、2021年2月に軍部が政権を掌握した後に結成された武装抵抗組織、人民防衛隊(PDF)の兵士の訓練でも協力する。

コンサートに来ていた村の住民、クン・トウェさんは、上空を飛ぶ飛行機が4カ所に爆弾を落とすのを目撃したと語った。野外イベントのステージを照らすスポットライトが、会場を狙うパイロットにとって格好の目印になっていたと言う。ステージ近くに着弾した爆弾によってオーラリさんのほか、少なくとも2人のミュージシャンが演奏中に殺されたと話した。

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