金利上げられない日本を待つ5つの最悪シナリオ 円安続き、企業と個人ともに悪影響及びかねない

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財源なき減税案を発表しただけでポンドを売り浴びせられ、格付けまで下落して、就任したばかりのトラス首相が辞任に追い込まれたイギリスは、日本にとって「明日は我が身」かもしれない。金利は、政治と密接な関係があるため、経済や金融だけでは判断できないが、今後の金利の動きによって、日本国民の生活がどんな影響を受けるのかシミュレーションしてみよう。

<金融引き締めに政策転換した場合>

「金利が上がる」――そんな経験を持つ人はいまや少数派なのかもしれない。金利の上昇幅にもよるが1970~1980年代の高金利時代には、定期預金でも5年で元本が1.4倍に、10年で2.1倍になった。ただし、金利が1~2%程度ならインフレによって相殺されてしまうはずだ。

一方、金利上昇によるデメリットは数多い。変動金利の住宅ローンを抱えている人は、金利上昇によって返済総額が大きく変わってくる。月額の返済額もいずれは高くなる。月額の返済額が増えるためマイホーム購入を控える人が増えるだろうし、不動産不況が襲うかもしれない。

借金を抱える企業にも正念場

借金を抱えている企業にとっても、金利上昇は正念場となる。日本は、政府による企業救済政策が長年にわたって続けられている。本来なら倒産していたはずの、いわゆる「ゾンビ企業」と呼ばれる企業が金利上昇局面で、一斉に窮地へ追い込まれるシナリオはありえる。

また、金利が上がれば銀行から融資を受けて設備投資や技術開発に取り組む企業も少なくなってくる。大手の日本企業は莫大な「内部留保」を抱えているため、この内部留保により高い金利が付くことになる。中小の銀行が金利分を稼げるのか、という心配もある。中長期にわたって日本経済の低迷につながるかもしれない。

日本政府の財政に対しても大きな懸念が出てくる。政府は1000兆円を超す国債を発行しているために、現在の財政は全体の22.6%に当たる24兆円(2022年度、以下同)の「国債費(償還費と金利)」を支出している。利払い額は8兆2660億円。過去に発行した国債の金利は変わらないが、新規に発行する新発債には高い金利が適用されるために、財政の負担額は上昇することになる。

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