今見ても驚きの価格破壊「平成のお得な切符たち」 「鉄道開業150年記念パス」を上回る太っ腹ぶり

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関西おでかけパス

現在の「関西1デイパス」シリーズを縮小したような形だったのが「関西おでかけパス」である。大阪を中心に和歌山、西明石、新三田、亀岡、堅田、草津、加茂、五条までのエリアが2000円で乗り放題という、広さも値段もこのくらいがちょうどいいか、という切符だった。土日のうち1日のみ利用でき、3日前まで発売、在来線のみ特急券別購入で特急利用可能だが新幹線は利用不可であった。

これを使えば、例えば西明石から京都の嵯峨嵐山まで行く場合、往復で3960円かかるところが2000円! 半額で往復でき、さらに特典も豊富で各種施設割引から和歌山ラーメンの井出商店1割引まで付いているという充実ぶりだった。

今の関西1デイパスシリーズは範囲が広過ぎるような気もする。JR東日本の都区内パスなどのように、大阪市内だけ周遊できるような、いろんな広さが選べるようなフリーきっぷのラインナップの充実を求めたい。

JR四国全線3日間1万円の驚き

四国全線開通謝恩フリーきっぷ

豪雨被害を受けたJR四国が、2018年9月13日に全線復旧するのを記念して発売されたフリー切符だ。3日間、JR四国全線の特急自由席に乗り放題で、お値段なんと1万円!全線復旧日の9月13日と同日以降の金曜・土曜利用限定で、復旧前日(9月12日)から発売された。こんなにも安いので、例えば高松―宇和島間往復が1万5500円であることを考えると単純往復でも5500円もお得であった。

いかがだったであろうか。完全民営化記念のJR東日本パスは、当時中学生だった筆者にとっては思い出深い切符である。購入資金4000円を父が作ってくれたお札用貯金箱に保管していたのだが、いざ当日買いに行こうとしたら貯金箱が空っぽ。「何でないの!」と父に詰め寄ったところ「酒飲むのに使っちゃった〜」などと言われ、「なんてことしてくれるんだ! 今日発売最終日なんだよ!」と言ってなんとか取り返して買いに行ったのだった。

それはさておき、このようなお得な切符は旅行需要の回復には効果てきめんのはずだ。今回のJR東日本パスの利用状況が会社にとっても好ましいものであれば、ぜひ三連休パスのような形で、値上げしてでも(あるいは筆者のように日帰りを3回繰り返すような使い方をする人もいるだろうから、1日あたりの新幹線利用回数に制限をつけてでも……)通年販売化を期待したいところである。

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北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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