EV(電気自動車)充電器市場の行く末、期待先行で参入続出だが

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将来の海外展開を視野 標準規格争いで優位に

だが「撤退はありえない」と各社は口をそろえる。高砂製作所の高橋啓一社長は、「今後日本にとどまらず、世界的に成長を見込める数少ない市場」と指摘。また、高岳製作所は昨年、同業の米イートンと技術提携を締結。チャデモ規格の急速充電器を米国、カナダ、メキシコ向けに製造販売する方針を示すなど、各社は国内にとどまらず、海外展開の布石を次々に打ち始めている。

競合同士が手を組み、早々とチャデモという標準規格化で合意したのも、海外を見据えているからだ。

急速充電器の標準規格争いをめぐっては、日本のチャデモ方式のほか、欧州や米国、中国なども、それぞれ別規格を提案している。だが、業界関係者は、「日産や三菱など電気自動車の実用化は日本が先行した。急速充電器も波に乗れば、日本規格がデファクトスタンダード(事実上の業界標準)に最も近い」と自信を示す。実際、米オレゴン州などの実証実験ではチャデモ規格が採用されるなど、明るい兆しも見えている。

将来大きな市場に変貌できるかどうか。挑戦は始まったばかりだ。

(伊藤崇浩、松浦 大 =週刊東洋経済2011年3月19日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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