EV(電気自動車)充電器市場の行く末、期待先行で参入続出だが

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


一方、JFEエンジニアリングはチャデモ規格に準拠していないものの、充電時の電圧を上げることで、わずか3分で50%の充電が可能な“超”急速充電器を開発した。「競合他社の30分モデルでは急速とはいえない。当社は技術力で勝負する」(超急速充電器プロジェクトチームの石川洋史理事)と意欲的だ。

ただ、メーカー側の盛り上がりとは裏腹に受け皿がどこまで広がるかは未知数だ。導入コストが高く、資金回収が難しいからだ。

急速充電器の本体価格の多くは200万~300万円程度で普通充電器の約10倍と高額だ。高圧電流に対応した変圧器や配電盤の導入、電力契約の見直しも必要になる。本体価格は半額の政府補助があるが、工事費は対象外で、導入コストは700万~800万円程度、場合によっては1000万円を超える。7日に行われた政府の「規制仕分け」で規制緩和による工事費軽減の動きはあるものの、電気代はフル充電しても数百円程度にしかならず、単体での課金ビジネスモデルは描きにくい。

EVに詳しい日本総合研究所の宮内洋宜創発戦略センター研究員は、「電気代が安いので、電気で課金するモデルは成り立たない。急速充電器を置いた場所に課金するような駐車場のモデルぐらいだ」と指摘する。

日産も現状では多くが自社ディーラー向けにとどまる。全国約2200の販売店に充電設備を設置し、そのうち約200の販売店で急速充電器を利用できるようにしたが、あくまでもリーフ購入者向けのサポートが中心。月額1500円の会員向けサービスは、追加料金なしで充電などのサービスが受けられる。

全国の急速充電器の普及台数は2月末で560基。政府が掲げた20年の設置目標では5000基と、10倍に拡大する算段だが、それでも市場規模は大きくない。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事